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「無自覚ヒロイン」の作品一覧・人気順

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無自覚ヒロイン | 対象 タイトル, キーワード, 作家名

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「蔵も南向きでございましたので、日当たりがようございました」  人と人、人と家とを結ぶ力──〈結(ゆい)〉。  七つの年、子らは水に浮かぶ五色の糸で、その力を量られる。  伯爵家の次女・柏木絃羽の盥では、糸が、結ばれた端からほどけていった。 〈解け〉──結べぬ者。家の結びを緩めると忌まれ、絃羽はその日のうちに屋敷の蔵へ移される。  以来十年。外から閂の掛かった蔵で、誰も彼女の名を呼ばなくなった。  それでも絃羽は、今日も元気だった。  冷めた飯は、よく噛めば甘い。炭の来ない冬も、四股と腕立てを繰り返せば朝まで保つ。 「筋肉は、裏切りません!」  これが、彼女の座右の銘だった。  そんなある日、書庫の整理を名目に絃羽を引き取りに来たのは、宮家の嫡男・氷室篝だった。  触れれば相手を壊すほどの結びを持ち、十年、手袋を外したことがない男。 〝触れずの殿下〟と呼ばれ、誰にも近づかず、誰も近づけない。  けれど絃羽は、平然と彼に近づく。  冷えきった部屋に火を入れ、飯を炊き、食べない男に膳を出す。  ──助けられる側のはずなのに、彼女のほうが先に手を伸ばしてしまう。  そして、その手に触れても、絃羽だけは壊れなかった。  篝は、少しずつ気づいていく。  この娘が「少し、寒うございました」と言うとき、それは凍えたという意味だと。 「静かな冬でございました」と言うとき、火もなく、誰とも口をきかなかったという意味だと。  絃羽は怒らない。恨まない。自分が何を奪われたのかも知らない。  だから、代わりに怒るのは殿下のほうだった。 「お前が怒らないなら、俺が怒る。お前が怒らない分まで、全部な」  柏木家の帳面に、毎年の秋、欠かさず記された『蔵 炭』の一行。  炭が蔵へ届いた冬は、指で数えるほどしかない。  その金は、どこへ消えたのか。  そして、自分のためには決して怒らない娘が、ただ一度だけ怒ったのは──?  誰にも触れられなかった男と誰にも見つけられなかった娘が、  手を取り合うまでの大正浪漫・和風溺愛ファンタジー。
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