花岡 華恋さんの作品一覧

犬系男子は猫系男子に恋をする

総文字数/13,756

BL8ページ

第3回青春BL小説コンテストエントリー中
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放課後の教室、少し近すぎる距離。 名前を呼ぶだけで、胸がうるさくなる。 明るくて人懐っこい犬系男子・春日陽向と、 無口でクールな猫系男子・三条怜。 正反対の二人は、席替えをきっかけに、少しずつ同じ時間を過ごすようになる。 文化祭の準備、放課後の帰り道、何気ない会話。 その一つひとつが、気づけば「特別」になっていく。 恋だと気づくのは、いつも遅くて、でも確かだった。 文化祭では、王子様と執事のコスプレカフェ、 そして午後にはロミオとジュリエットの舞台。 役を借りて交わされる言葉は、演技なのか本音なのか。 視線が重なるたび、心は静かに揺れていく。 「さぁて、お嬢様はどちらがお好みでしょうか」 そんな台詞の裏に隠された、言えない想いと、抑えきれない独占欲。 犬みたいにまっすぐな恋と、 猫みたいに不器用な恋。 触れそうで触れない距離の中で、二人は少しずつ前へ進んでいく。 これは、 誰かを好きになる瞬間と、 その気持ちを大切に抱きしめるまでの物語。 やさしくて、甘くて、 ずっと見守っていたくなる青春恋愛BL。
行動は嘘をつかない

総文字数/1,745

ミステリー1ページ

スタ文創刊10周年企画「読むだけじゃない読書体験」小説コンテストエントリー中
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この物語は、読むだけでは終わらない。 ページをめくるあなたの「行動」そのものが、物語の一部になる。 事件の謎を追うのは、感情を言葉にしない記録係。 彼が信じるのは、証言でも涙でもなく、人が無意識に繰り返す仕草や、歩幅、沈黙の長さ。 なぜなら――感情は隠せても、行動は嘘をつかないからだ。 物語の途中、あなたは立ち止まり、耳を澄まし、触れ、動くことを求められる。 それは単なる演出ではない。 あなたが「どう動いたか」が、真実に近づいたかどうかを決める。 犯人は誰なのか。 それとも、犯人などいないのか。 答えは物語の中だけに用意されていない。 あなた自身の体験と記録が、最後のピースになる。 感情は目に見えない。 だが、行動は残る。 動画に撮れる。共有できる。広がっていく。 この物語を読み終えたとき、 あなたはもう、ただの読者ではない。 ――あなたは、どう動いた?
夕方五時、誰もいない団地で

総文字数/4,369

ホラー2ページ

第2回モキュメンタリーホラー小説コンテストエントリー中
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夕方五時。 帰宅を急ぐ人々の影が伸びる時間。 それは、今日がまだ終わっていないはずの時刻だ。 地平線しかない場所に、ぽつんと建つ集合住宅がある。 周囲に道も、隣家もない。ただ、同じ形の部屋が静かに並んでいる。 そこに迷い込む人々を、あなたは“案内人”として迎え入れる。 案内する先は、一人につき一つの部屋。 室内には、その人の記憶が形を持って残されている。 通勤鞄、割れたスマートフォン、止まった時計。 けれど、それらに触れることはできない。 なぜなら、彼らはすでに仏様だからだ。 忘れてしまった死の記憶を思い出せたとき、 部屋には天へと続く道標が現れる。 だが、思い出せなければ―― その部屋から、二度と出ることはできない。 案内人の仕事は淡々としている。 説明し、扉を開け、見送る。 そこに疑問を抱く必要はないはずだった。 しかし、いくつもの部屋を巡るうち、 あなたは違和感に気づき始める。 なぜ夕方は終わらないのか。 なぜ部屋の中に、見覚えのある物があるのか。 そして、なぜ自分自身の記憶だけが、どこにも見当たらないのか。 これは、死後の世界の物語ではない。 「帰る途中だった日常」が、静かに形を変えていく物語だ。 フィクションと現実の境界は、気づかぬうちに溶け、 ページを閉じたあとも、夕方五時はあなたの中に残り続ける。 その集合住宅は、今日も地平線の中に立っている。 次に迷い込むのは、あなたかもしれない。
色づく一手

総文字数/12,445

青春・恋愛5ページ

第63回キャラクター短編小説コンテスト「青春ボーイズライフ」エントリー中
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灰色に沈んでいた放課後。平凡な毎日を送る高校生、春原湊。将棋は好きだけれど、本気で勝つことにはいつも躊躇していた――誰かを傷つけたくない、そんな弱さのせいで、心の針は止まったまま。 そんなある日、転校生・朝比奈陽真が将棋部に現れる。明るく大胆、勝負事が大好きな陽真は、湊の世界に雷のように入り込む。最初は戸惑う湊だったが、いつしか陽真の熱に引き寄せられ、色のなかった日常が少しずつ彩り始める。 部長や後輩、そして自由奔放なOBたち――さまざまな人々に囲まれながら、湊は初めて「本気で勝ちたい」と思う。大会での悔しさ、合宿での笑い、そして親友のような相棒との絆。全ての経験が、湊を少しずつ成長させていく。 やがて迎える決勝戦、そして何十年も離れていた父・春原遼との親子戦。盤上に刻まれる一手一手が、過去のわだかまりを解き、湊の心を色づかせる――友情と成長、親子の絆、そして青春の輝きが交差する物語。 「本気で向き合うこと」――その一手が、人生を変える。
窓辺に残る鈴の音

総文字数/23,209

ヒューマンドラマ11ページ

第62回キャラクター短編小説コンテスト「心癒される、猫小説」エントリー中
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――その鈴の音は、今も胸の奥で響いている。 疲れた心に、静かな祈りを届けるヒーリングファンタジー。 ある冬の夜、会社帰りの悠真は、路地裏で傷だらけの白猫を拾う。 その猫は、冷たい風の中で小さく震え、かすかな息をしていた。 放っておけず自宅に連れ帰った彼は、毛布に包み、温かなミルクを差し出す。 翌朝――猫が言葉を発した。 「助けてくれて、ありがとう。わたしは“神”なのだよ」 信じられない光景に戸惑いながらも、悠真は猫を「ミコト」と名付け、一緒に暮らし始める。 コーヒーをこぼせば不思議とこぼれず、眠れない夜には胸の上で喉を鳴らし、心を落ち着かせてくれる。 そんな小さな奇跡の日々の中で、悠真の凍っていた心が少しずつ溶けていく。 かつて神であったミコトは、祈りを失い、力をなくしてこの世に落ちてきた。 人の「願い」や「想い」を忘れた時代で、もう一度人の温もりを知りたい―― その願いが、ひとりの孤独な男との出会いを導いた。 やがて二人の間に芽生えたのは、言葉では言い表せないほどの絆。 しかし、穏やかな日々の中で、ミコトの身体が徐々に透け始める。 「もう、祈りの力が足りないんだ」 悠真は祈る。「消えないでくれ」と。 その祈りが、ミコトの最後の光を優しく包み込む――。 翌朝、窓辺には一筋の白い毛と、小さな鈴が残されていた。 それは確かに、彼が“もう一度生きよう”と決めた証だった。 悲しみの先にあるのは、静かな希望。 失ったものの中にこそ、寄り添うぬくもりがある。 『窓辺に残る鈴の音』は、 喪失と再生、そして「祈り」をめぐる優しい奇跡の物語です。 心が疲れたとき、 どうかこの物語のページを開いてください。 どんな夜にも寄り添ってくれる―― あなたの傍にも、きっと鈴の音が聴こえるはずです。
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