花岡 華恋さんの作品一覧

犬系男子は猫系男子に恋をする

総文字数/26,972

BL14ページ

第3回青春BL小説コンテストエントリー中
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放課後の教室、少し近すぎる距離。 名前を呼ぶだけで、胸がうるさくなる。 明るくて人懐っこい犬系男子・春日陽向と、 無口でクールな猫系男子・三条怜。 正反対の二人は、席替えをきっかけに、少しずつ同じ時間を過ごすようになる。 文化祭の準備、放課後の帰り道、何気ない会話。 その一つひとつが、気づけば「特別」になっていく。 恋だと気づくのは、いつも遅くて、でも確かだった。 文化祭では、王子様と執事のコスプレカフェ、 そして午後にはロミオとジュリエットの舞台。 役を借りて交わされる言葉は、演技なのか本音なのか。 視線が重なるたび、心は静かに揺れていく。 「さぁて、お嬢様はどちらがお好みでしょうか」 そんな台詞の裏に隠された、言えない想いと、抑えきれない独占欲。 犬みたいにまっすぐな恋と、 猫みたいに不器用な恋。 触れそうで触れない距離の中で、二人は少しずつ前へ進んでいく。 これは、 誰かを好きになる瞬間と、 その気持ちを大切に抱きしめるまでの物語。 やさしくて、甘くて、 ずっと見守っていたくなる青春恋愛BL。
オールの先に、水平線

総文字数/2,326

青春・恋愛1ページ

第63回キャラクター短編小説コンテスト「青春ボーイズライフ」エントリー中
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退屈で、何も変わらないと思っていた毎日。 水瀬理人にとって、世界はいつも同じ色をしていた。 魚が好きだった。 水族館で、静かに泳ぐ魚たちを眺めている時間だけは、 この世界が少しだけ、きらめいて見えた。 いつかあの場所で、魚たちのことを 誰かに伝える仕事ができたら―― それが、理人の小さな夢だった。 正反対の転校生・朝霧颯真は、 海が好きで、空が好きで、 いつか海上自衛隊になることを真っ直ぐに語る少年だった。 同じ“海”を見ているのに、 向いている方向はまるで違う。 二人が出会ったのは、カッター部という小さな舟の上。 一人では進めず、 誰かを信じなければ前に出られない世界。 笑い合い、ぶつかり合い、 同じリズムでオールを揃える日々。 だが颯真は、過去の事故という“非日常”を抱え、 海に向かうことそのものを、どこかで恐れていた。 逃げたい過去と、踏み出したい未来。 恋ではない。 それでも確かに結ばれていく、相棒としての絆。 荒れる海の上、限界の先で、 彼らはそれぞれの夢を胸に、オールを握る。 魚たちの世界を伝えたい少年と、 海を守る道を選ぼうとする少年。 これは、同じ舟に乗った時間が、 二人の未来をそっと後押しする物語。 爽快で、少し切なく、 読み終えたあと、胸の奥に静かな光が残る 青春ボーイズライフ。
夕方五時、誰もいない団地で

総文字数/4,369

ホラー2ページ

第2回モキュメンタリーホラー小説コンテストエントリー中
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夕方五時。 帰宅を急ぐ人々の影が伸びる時間。 それは、今日がまだ終わっていないはずの時刻だ。 地平線しかない場所に、ぽつんと建つ集合住宅がある。 周囲に道も、隣家もない。ただ、同じ形の部屋が静かに並んでいる。 そこに迷い込む人々を、あなたは“案内人”として迎え入れる。 案内する先は、一人につき一つの部屋。 室内には、その人の記憶が形を持って残されている。 通勤鞄、割れたスマートフォン、止まった時計。 けれど、それらに触れることはできない。 なぜなら、彼らはすでに仏様だからだ。 忘れてしまった死の記憶を思い出せたとき、 部屋には天へと続く道標が現れる。 だが、思い出せなければ―― その部屋から、二度と出ることはできない。 案内人の仕事は淡々としている。 説明し、扉を開け、見送る。 そこに疑問を抱く必要はないはずだった。 しかし、いくつもの部屋を巡るうち、 あなたは違和感に気づき始める。 なぜ夕方は終わらないのか。 なぜ部屋の中に、見覚えのある物があるのか。 そして、なぜ自分自身の記憶だけが、どこにも見当たらないのか。 これは、死後の世界の物語ではない。 「帰る途中だった日常」が、静かに形を変えていく物語だ。 フィクションと現実の境界は、気づかぬうちに溶け、 ページを閉じたあとも、夕方五時はあなたの中に残り続ける。 その集合住宅は、今日も地平線の中に立っている。 次に迷い込むのは、あなたかもしれない。
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