「ふはは、貴様の無能ぶりをここで証明してくれるわ!」
「ここで会ったら100年めぇ~~俺様の恨みをはらしまくってやるぜぇ~!」
騎馬戦も大詰め。そんな俺と剣姫シュトリアーナの前に、ゼクスとザザールが立ちふさがった。
知らんがな。俺はなにもしとらんからな。
お門違いも甚だしいコンビだが、復讐心だけは人一倍らしい。
さぁて、昼飯提供で枯渇していた魔力は回復しはじめているが、まだわずかでしかない。
が……
「―――現代フード召喚!」
騎馬一騎の対応程度ならなら、どうとでもなる!
次の瞬間、ザザールの口内に現れたのは、鉄板から下ろしたばかりの熱々たこ焼き。
「ごぶぁっ!? あっづぁあああ!」
よし、決ま―――
「はぁうああああ♡」
……え?
「とろっ……中とろぉおおのあつぅうう♡」
ザザールがブルンブルン頭を揺らして、なんとも形容詞しがたい顔で喜んでいる。
なんでだよ。
頬を紅潮させ涙を浮かべながらも、むしろ恍惚の表情へと変わっていく。
あ、そうだった。こいつ、以前たこ焼き直接召喚で鍛えられた変態だったな……。
なるほど、たこ焼き耐性持ちか。
ならば次だ。
「―――現代フード召喚! 熱々おでん、大根!」
俺は出汁をたっぷり吸った極熱大根を召喚。
一気にザザールの口が大根太切りの形に変形した。普通に切り分けてフーフー食べれば激うまだが、一発口内への放り込みで完全逃げ場なしの熱々召喚だ。
「ふぐぅうう!? んんん!! んいいぃんん♡」
やめろ……気持ち悪すぎるだろ。
口を大根型にして、なんかよくわからん叫びを漏らすザザール。
これも耐えるとは……どんだけ耐性高いんだ。
「ええぃ! ―――現代フード召喚! 小籠包はどうだ!」
こいつは数々の熱々の中でも、いっとうヤバイやつだぞ。
小籠包じたいはうまいし、俺も大好きだ。だがそれはレンゲにのせて、皮を少しやぶって食べるからである。
それをせずに直接口内に放り込もうものなら……
「ぎゃあああああああ!!」
ぶしゅぅううう!
激熱の汁がたっぷりと口内で暴れることになる。
口から湯気が出てるな……これは超高温うま汁爆弾だ。
よし、今度こそ―――
「ふひゃはははは~~~あちぃいいぃぃぃ♡~~じゅわぁああああ♡」
湯気と共に変な声を出すな。
目の前で、ザザールが肩を震わせながら荒い息を吐いている。
苦しいというか……喜びのはぁはぁだ。
「ふしゃぁああ……あちぃ……♡」
目が完全に据わっている。
いや据わっているというか、もうどこも見ていないんじゃないか。
熱による快楽に全振りしている顔だ。
ってどんな顔だよ。
だめだ、これは完全に覚醒している。
「タケオ、な、なんだあいつは。キモすぎるぞ……」
頭上から、剣姫シュトリアーナのドン引きしている声が届く。
氷の女が引くレベルって相当だぞ。
「ふん、変態め。さっさと潰すぞ」
―――シャッ。
空気が裂ける音。
剣姫はさっさと終わらせると言わんばかりに剣を抜き、目にも止まらぬ斬撃が走る。
だが。
「……あれ? 落ちない?」
ゼクスのハチマキが切れていない。
んん? ていうかゼクスたちがブレた!?
なにこれと思った次の瞬間。
「くらえタケオぉおおお!」
いきなり眼前に迫る気配。
ゼクスの騎馬が凄い勢いでこちらに肉薄してきた。
うお!? なんだこいつら!
若手騎士である煩悩馬二人が踏ん張り、俺は咄嗟に騎馬を傾けてゼクスたちの奇襲を避ける。
視界の端で、ザザールが信じられない軌道で動いた。
―――カサカサ
左右に行ったり来たりの不規則移動。からの急停止と思いきや急加速。
まるで虫だ。
「なんだと……動きが読めん」
シュトリアーナがわずかに眉を寄せる。
あの剣姫が「読めない」と言った。
マジかよ……あの最前線で魔物の大軍をことごとく討ち果たした剣姫だぞ。
それほどまでにザザールの動きは意味不明なのだろう。
―――カサカサカサ!
しかも速い!
熱で脳がバグって、予測不能な機動力を見せつけるザザール。
「くはははは! まずは貴様からだタケオ!」
ゼクスが下卑た笑みを浮かべる。
「うっとおしい馬を落としてから、じっくりシュトリアーナのハチマキをいただくとするか」
なんかセクハラ臭ただよう、クソおっさんムーブをかますゼクス。
そういやこいつ、剣姫に執着していたんだっけか。俺が左遷された理由もそれだった。
ザザールの不規則移動に合わせて、ゼクスが攻撃を繰り出す。
狙いは俺だ。
だが、ゼクス自体の動きはたいしたことがない。
なんだこいつ。もしかして連戦で疲れているのか?
ぐぅうう~~。
んん?
おい、この音……
俺は目を細める。
「ゼクス殿……さては弁当、食ってないな?」
「ふん! 貴様のような奴が出した弁当など……ぐぅうううう」
また腹が鳴る。
わかりやすい。
くだらんプライドで昼を抜いたな。
ちゃんと昼飯を食わんから、肝心な時に力が出んのだ。
「……なら、たらふく食わせてやるよ」
俺は静かに呟く。
「―――現代フード召喚!」
ゼクスの口内に出現したのは、のり弁。
白米の熱気、海苔の磯の香り、ちくわ天の存在感、揚げたて白身魚の衣、甘辛きんぴら。
庶民の王道―――全部くらわしてやる!
「……がごふっ!?」
突然の強制咀嚼がはじまった。
「な、なにを……もちゃ……!」
もぐもぐ。
「ぬぅ……むぐむぐ」
止まらない。
「こんな……こんなもの……!」
涙目で咀嚼するゼクス。
「く……くそ……うまい……!」
―――ゴクン。
のり弁まるまる一個がすべてゼクスの胃に収まった。
その瞬間、ゼクスの瞳から光が消えた。
バタりと馬から落ちるゼクス。強制のり弁で気絶したようだ。
「どうだ、昼飯うまいだろ」
地面でのびているゼクスの頭からハチマキを抜き取りつつ、元上司殿のよこに熱茶を召喚しておいた。
「食った後の茶はうまいぞ」
さて、これでゼクスは片付いた。
だが……
「よくやったタケオ。だがまだ終わりではないぞ」
「ふしゃぁああちぃいいい!!」
まだいる。
すでに騎手は敗れたと言うのに、係員の制止を振り切ってザザールは熱覚醒のまま暴走している。
「タケオ、止めれるか?」
「ええ、もちろん」
こいつの異常行動の元は熱だ。たこ焼きや小籠包など、激熱を直接口内に召喚して脳が活性化?されたのか、このような動きをしている。
だったら……
「―――現代フード召喚!」
俺は再びザザールの口内に直接召喚をぶっこんだ。
なにをぶっこんだって? そりゃ、極熱状態からの……かき氷まるまる召喚だ。
「がっ……つめ……!」
どうだ、山盛りブルーハワイの味は。
キィィイイイイン!!
ザザールの全身がビクビク跳ねる。まるで、陸にあげられた魚のように。
「ひゃああああああああ!!」
ザザールは強制キンキンになった頭を抱えながら白目をむき、そのまま崩れ落ちた。
「ふぅ……変態の無力化に成功っと」
「うむ、よくやったタケオ」
さてさて、随分とゼクスたちに時間を取られてしまった。
戦況はと演習場をぐるりと見渡すと、残っている騎馬は俺たちと優雅に佇むフルノラ団長のみ。
てことは……
「はぁ~~い、グルト辺境騎士団の優勝で~す! みなさん拍手~~♪」
ステア王女が自らパチパチと惜しみない拍手を送ってくれた。
それに続いて、歓声が波のように押し寄せる。
おお……なんか内勤のおっさん騎士としてはなかなか体験できないことだな。
「ではでは~~これにて午後の部は終了です~晩ご飯まで自由におくつろぎくださ~い♪ タケオさん、期待してますよ♡」
ステア王女がキャッと俺の方にかわいい声を投げてきた。
「ステア王女殿下の言う通りだな、期待しているぞ。タケオ」
馬の俺から降りた剣姫が、去り際に俺の肩をポンと叩く。
まったく、とんだ飛び入り参加の騎馬戦だったが、まあいい汗をかいた。だがこれは前座だ。
さてさて、次がいよいよ食堂課の本番だな。
「ここで会ったら100年めぇ~~俺様の恨みをはらしまくってやるぜぇ~!」
騎馬戦も大詰め。そんな俺と剣姫シュトリアーナの前に、ゼクスとザザールが立ちふさがった。
知らんがな。俺はなにもしとらんからな。
お門違いも甚だしいコンビだが、復讐心だけは人一倍らしい。
さぁて、昼飯提供で枯渇していた魔力は回復しはじめているが、まだわずかでしかない。
が……
「―――現代フード召喚!」
騎馬一騎の対応程度ならなら、どうとでもなる!
次の瞬間、ザザールの口内に現れたのは、鉄板から下ろしたばかりの熱々たこ焼き。
「ごぶぁっ!? あっづぁあああ!」
よし、決ま―――
「はぁうああああ♡」
……え?
「とろっ……中とろぉおおのあつぅうう♡」
ザザールがブルンブルン頭を揺らして、なんとも形容詞しがたい顔で喜んでいる。
なんでだよ。
頬を紅潮させ涙を浮かべながらも、むしろ恍惚の表情へと変わっていく。
あ、そうだった。こいつ、以前たこ焼き直接召喚で鍛えられた変態だったな……。
なるほど、たこ焼き耐性持ちか。
ならば次だ。
「―――現代フード召喚! 熱々おでん、大根!」
俺は出汁をたっぷり吸った極熱大根を召喚。
一気にザザールの口が大根太切りの形に変形した。普通に切り分けてフーフー食べれば激うまだが、一発口内への放り込みで完全逃げ場なしの熱々召喚だ。
「ふぐぅうう!? んんん!! んいいぃんん♡」
やめろ……気持ち悪すぎるだろ。
口を大根型にして、なんかよくわからん叫びを漏らすザザール。
これも耐えるとは……どんだけ耐性高いんだ。
「ええぃ! ―――現代フード召喚! 小籠包はどうだ!」
こいつは数々の熱々の中でも、いっとうヤバイやつだぞ。
小籠包じたいはうまいし、俺も大好きだ。だがそれはレンゲにのせて、皮を少しやぶって食べるからである。
それをせずに直接口内に放り込もうものなら……
「ぎゃあああああああ!!」
ぶしゅぅううう!
激熱の汁がたっぷりと口内で暴れることになる。
口から湯気が出てるな……これは超高温うま汁爆弾だ。
よし、今度こそ―――
「ふひゃはははは~~~あちぃいいぃぃぃ♡~~じゅわぁああああ♡」
湯気と共に変な声を出すな。
目の前で、ザザールが肩を震わせながら荒い息を吐いている。
苦しいというか……喜びのはぁはぁだ。
「ふしゃぁああ……あちぃ……♡」
目が完全に据わっている。
いや据わっているというか、もうどこも見ていないんじゃないか。
熱による快楽に全振りしている顔だ。
ってどんな顔だよ。
だめだ、これは完全に覚醒している。
「タケオ、な、なんだあいつは。キモすぎるぞ……」
頭上から、剣姫シュトリアーナのドン引きしている声が届く。
氷の女が引くレベルって相当だぞ。
「ふん、変態め。さっさと潰すぞ」
―――シャッ。
空気が裂ける音。
剣姫はさっさと終わらせると言わんばかりに剣を抜き、目にも止まらぬ斬撃が走る。
だが。
「……あれ? 落ちない?」
ゼクスのハチマキが切れていない。
んん? ていうかゼクスたちがブレた!?
なにこれと思った次の瞬間。
「くらえタケオぉおおお!」
いきなり眼前に迫る気配。
ゼクスの騎馬が凄い勢いでこちらに肉薄してきた。
うお!? なんだこいつら!
若手騎士である煩悩馬二人が踏ん張り、俺は咄嗟に騎馬を傾けてゼクスたちの奇襲を避ける。
視界の端で、ザザールが信じられない軌道で動いた。
―――カサカサ
左右に行ったり来たりの不規則移動。からの急停止と思いきや急加速。
まるで虫だ。
「なんだと……動きが読めん」
シュトリアーナがわずかに眉を寄せる。
あの剣姫が「読めない」と言った。
マジかよ……あの最前線で魔物の大軍をことごとく討ち果たした剣姫だぞ。
それほどまでにザザールの動きは意味不明なのだろう。
―――カサカサカサ!
しかも速い!
熱で脳がバグって、予測不能な機動力を見せつけるザザール。
「くはははは! まずは貴様からだタケオ!」
ゼクスが下卑た笑みを浮かべる。
「うっとおしい馬を落としてから、じっくりシュトリアーナのハチマキをいただくとするか」
なんかセクハラ臭ただよう、クソおっさんムーブをかますゼクス。
そういやこいつ、剣姫に執着していたんだっけか。俺が左遷された理由もそれだった。
ザザールの不規則移動に合わせて、ゼクスが攻撃を繰り出す。
狙いは俺だ。
だが、ゼクス自体の動きはたいしたことがない。
なんだこいつ。もしかして連戦で疲れているのか?
ぐぅうう~~。
んん?
おい、この音……
俺は目を細める。
「ゼクス殿……さては弁当、食ってないな?」
「ふん! 貴様のような奴が出した弁当など……ぐぅうううう」
また腹が鳴る。
わかりやすい。
くだらんプライドで昼を抜いたな。
ちゃんと昼飯を食わんから、肝心な時に力が出んのだ。
「……なら、たらふく食わせてやるよ」
俺は静かに呟く。
「―――現代フード召喚!」
ゼクスの口内に出現したのは、のり弁。
白米の熱気、海苔の磯の香り、ちくわ天の存在感、揚げたて白身魚の衣、甘辛きんぴら。
庶民の王道―――全部くらわしてやる!
「……がごふっ!?」
突然の強制咀嚼がはじまった。
「な、なにを……もちゃ……!」
もぐもぐ。
「ぬぅ……むぐむぐ」
止まらない。
「こんな……こんなもの……!」
涙目で咀嚼するゼクス。
「く……くそ……うまい……!」
―――ゴクン。
のり弁まるまる一個がすべてゼクスの胃に収まった。
その瞬間、ゼクスの瞳から光が消えた。
バタりと馬から落ちるゼクス。強制のり弁で気絶したようだ。
「どうだ、昼飯うまいだろ」
地面でのびているゼクスの頭からハチマキを抜き取りつつ、元上司殿のよこに熱茶を召喚しておいた。
「食った後の茶はうまいぞ」
さて、これでゼクスは片付いた。
だが……
「よくやったタケオ。だがまだ終わりではないぞ」
「ふしゃぁああちぃいいい!!」
まだいる。
すでに騎手は敗れたと言うのに、係員の制止を振り切ってザザールは熱覚醒のまま暴走している。
「タケオ、止めれるか?」
「ええ、もちろん」
こいつの異常行動の元は熱だ。たこ焼きや小籠包など、激熱を直接口内に召喚して脳が活性化?されたのか、このような動きをしている。
だったら……
「―――現代フード召喚!」
俺は再びザザールの口内に直接召喚をぶっこんだ。
なにをぶっこんだって? そりゃ、極熱状態からの……かき氷まるまる召喚だ。
「がっ……つめ……!」
どうだ、山盛りブルーハワイの味は。
キィィイイイイン!!
ザザールの全身がビクビク跳ねる。まるで、陸にあげられた魚のように。
「ひゃああああああああ!!」
ザザールは強制キンキンになった頭を抱えながら白目をむき、そのまま崩れ落ちた。
「ふぅ……変態の無力化に成功っと」
「うむ、よくやったタケオ」
さてさて、随分とゼクスたちに時間を取られてしまった。
戦況はと演習場をぐるりと見渡すと、残っている騎馬は俺たちと優雅に佇むフルノラ団長のみ。
てことは……
「はぁ~~い、グルト辺境騎士団の優勝で~す! みなさん拍手~~♪」
ステア王女が自らパチパチと惜しみない拍手を送ってくれた。
それに続いて、歓声が波のように押し寄せる。
おお……なんか内勤のおっさん騎士としてはなかなか体験できないことだな。
「ではでは~~これにて午後の部は終了です~晩ご飯まで自由におくつろぎくださ~い♪ タケオさん、期待してますよ♡」
ステア王女がキャッと俺の方にかわいい声を投げてきた。
「ステア王女殿下の言う通りだな、期待しているぞ。タケオ」
馬の俺から降りた剣姫が、去り際に俺の肩をポンと叩く。
まったく、とんだ飛び入り参加の騎馬戦だったが、まあいい汗をかいた。だがこれは前座だ。
さてさて、次がいよいよ食堂課の本番だな。

