ゲーム世界の悪役貴族に転生した俺、最弱の【闇魔法】が実は最強だったので、破滅回避の為に死ぬ気で鍛えまくっていたら、どうやら鍛えすぎてしまったようです~なぜかメインイベントを俺がクリアしてしまうのだが~

 「アビロス! なんで毎回これなんですか!」
 「ハ~ハッハ、アビ! これ凄いな! スースーするぞ!」
 「ご主人様~~ララのスカート風船みたいです~~」
 「アビロス君~~スカート破れちゃうよ~恥ずかしいよ~~」
 「アビロっち~~この鬼畜魔法うける~~」
 「あ、アビロス君~~こ、これ、凄いよ! ぼ、僕……興奮する!(←?)」

 美少女たち(男1名含む)から黄色い悲鳴が次々に飛んでくる。

 そう、俺は得意魔法を使った。
 残った魔力すべてを絞り出して全員を浮かせたのだ。

 ただし、前にも言ったがこの魔法には避けては通れないしばりがある。

 体も浮くが、スカートも浮く。

 ―――というかめくれる。

 必ずめくれる。
 絶対にめくれる。

 この世界の原作ゲームの設定がそうさせているからだ。

 美少女たちが舞い上がり、ついでにスカートたちも舞い上がる。
 色とりどりのパンツが、空に咲き乱れる。

 盛大なパンツ祭りだ。

 スカートを必死に抑えようとする者がいるが―――

 悪いが抑えても無駄なんだ。回避不能の魔法だから、もう我慢してくれとしか言えん。

 「あ、アビロスさま……浮いてます! これ、凄い!」

 おっと、俺の腕の中にも1人いたんだった、お姫様が。

 「ああ、だから絶対助けるって言っただろ」
 「はい! 凄い! わたくし空を飛んだの初めてです!」

 俺の腕の中で興奮した声をだすエリス王女。
 思いっきりパンツ丸見えだけどな……。


 そして、俺たちがいた地下から閃光と、とてつもない爆音が響く。
 俺は崩れていく地下施設を上空から見下ろして、ふぅっと息を吐いた。

 なんとか危機を脱したようだな。危なかった……ギリギリだったな。

 と思ったのも束の間。危機はさっていなかった。


 爆音と共に上空へ吹き上がる爆風。


 「「「「「「「ええ~~またぁあああ! キャアアアアア!!」」」」」」


 再度大空にパンツの花を咲かせる美少女たち。

 2回目のこれは俺の責任じゃないからな。


 程なくして、俺は全員の【闇魔法】を徐々に解除していく。
 盛大なパンツ祭りをやらかしつつも、俺たちは無事地上に降り立つことができた。


 「「「姫様~~~」」」


 お、王家の親衛隊か。地上には騎士たちが続々と集結しはじめている。彼らもここを探り当てたようだ。
 俺は着地すると、エリス王女を優しく降ろそうとしたのだが……!?

 「あの? エリス王女殿下? もう地上に着きましたよ」
 「はい……」

 「……………」

 いや着いたってば!

 早く降りてくれ、絵柄的に王女を抱いているのはマズいんですよぉ~~なんか騎士たちの視線もきついし。

 しかし一向に俺から離れる気配を見せない王女さま。

 しょうがないから、ちょっと縦に振ってみた。
 ユサユサ―――

 「くっ……」

 くっ……じゃないんだよ! しがみついてないで、早く降りてくれって!

 「おい、貴様!さっきからエリス王女殿下になにをしているのだ!」
 「貴様が誘拐犯か!」
 「はやく姫様から離れろ! なにをユサユサと怪しい動きをしておる!」

 ほら~~こういう誤解を受けるじゃないか~~

 「違います! この方はわたくしを救ってくださった方です! 命の恩人に向かって無礼は許しません!」

 お、エリス王女が事情を説明してくれたぞ。
 この状況では、俺が何を言っても単に不審者扱いされるだけだからな。

 「え! そうだったのですか……これはとんだご無礼を」
 「申し訳ない、我らも感情がたかぶっていた故に、ご容赦くだされ」


 「そうです! この方はみんなのスカートをめくって危機を救いました!」


 いやいやいや……そこだけ強調しないでくださいエリス王女……

 「な、なんですと! 貴様やはり賊か!」
 「姫さまもめくられたのですか!?」

 ほら~~振り出しに戻ったじゃないの~~。
 4大貴族であるマルマーク家の息子ってことを伝えるか? う~~む。

 「もちろんわたくしのパンツもお見せしました!」

 ダメだこの子……まわりを見てくれよ。
 騎士たちの顔が、とんでもない形相になっていくじゃないか。


 「「「やはりこの変態男は捕縛しましょう!」」」


 騎士たちの意見が完全一致してしまった。
 クソ……こんなところに破滅フラグがあったとはな……盲点だったぜ。

 が、そんな俺を救ってくれる声が。

 「ハ~ハッハ、親衛隊長! そいつは本当にわたしたちを救った恩人だ! あとまわりのみんなもな!」

 マリーナが、いつもの高笑いをしてみせる。
 親衛騎士たちもこの笑いで、一気に警戒を解き。俺への謝罪と共に、各自の持ち場へと動いた。
 この施設の調査や、捕まっていた少女たちの保護、そして司教の捕縛などだ。

 さすが第3王女、騎士たちからの信望も厚いのだろう。とにかく助かったよ。

 「ハハッ、ようやくいつものマリーナに戻ったな」
 「ああ、アビ。そしてみんな本当に感謝する」

 エリス王女も姉のマリーナに促がされて、ようやく俺から降りてくれた。
 改めて抱き合い生還を喜ぶ王女姉妹。赤色と金色の綺麗な髪が混じりあって、何とも言えない輝きを放つ。
 本当に仲がいいんだな、この2人。

 「ところでみんな。わたしのうちへ来ないか。お礼と言っちゃなんだが、是非とも夕食を振舞わせてくれ」

 おお、たしかに腹は減った。

 ステラやララをはじめ、みんな頷いたのでご相伴に預かることにする。


 馬車に揺られて、いい気分になってマリーナの家に向かう俺たち。
 なんだかんだと大変だったが、無事にエリス生還ルートをたどれたようだ。
 良かったよ。


 「みんな! 着いたぞ! 取り合えず客間でゆっくりしていてくれ」


 馬車を降りた俺は、大事なことに気が付いた。

 そうだったマリーナって王女だった。あとエリスも。

 てことは……うちって……


 ――――――やっぱ王城じゃねぇか! 城をわたしんちみたいな言い方すな!


 うわぁ~~今日は疲れたから、もう変なイベントは起こらないでくれよ~~

 などと自らフラグを立てるアビロスなのであった。