追放された転生第7王子、マニアックなスキル【ポーション生成・合成】でぼっちスローライフ満喫……のはずが、作ったポーションが凄すぎて美少女依存者が続出してしまい俺を離してくれない

 俺はポーチに手を入れた。

 取り出しのは、【戦闘ポーション(瞬間身体能力アップ)(インスタントパワーブースト)】。

 「……無駄な事だ。いまさらその特殊ポーションを追加で飲んでも、大して変わらんぞ王子」
 「たしかに、これ単体ではおまえさんの言う通りだろうな」

 隊長にそう言いながら、さらに戦闘ポーションを取り出す。

 「2本追加でも同じことだ。バトルエリクサーで強化された私には通用せん」

 2本追加で合計4本。ぶっちゃけ俺の肉体の許容範囲をすでに超えている。
 だが、これでもバトルエリクサー(隊長)には届かない。

 「でもな……そんな究極アイテム見せられたら、試したくなったんだよ」

 「試すだと? なんの話だ?」

 こういうことだ――――――

 俺は2つの戦闘ポーションに対してスキルを発動。


 「―――【ポーション合成】!
 【戦闘ポーション(瞬間身体能力アップ)(インスタントパワーブースト)】×【戦闘ポーション(瞬間身体能力アップ)(インスタントパワーブースト)】!」

 戦闘ポーションは単体でも凄まじい力を秘めている。他の補助ポーションや回復ポーションとは効果が段違いなのだ。ゆえに合成するにしても、他のポーションと合成して属性をプラスするという使用しかしていなかった。

 だから戦闘ポーション同士を合成したことは今までない。

 2つの小瓶が光の中で融合する。

 「合成完了―――【戦闘ポーション(限界突破身体能力アップ)(リミットブレイクパワーブースト)】!」

 新たに出来上がったポーションを一気に飲み干す。


 ――――――ドクンッ!!


 心音が新たなポーションに反応する。

 身体の隅々まで、ポーションがいきわたる感覚。

 「待たせたな、おっさん」
 「……新たな特殊ポーションを生み出したのか」

 「ああ、そのとおりだ」

 さて、神の作り出したエリクサーよ。

 「俺のポーションを試させてもらうぞ―――」
 「ふん、結果は同じだ」

 俺と隊長の言葉が終わる前に、俺の拳と隊長の剣が振りぬかれていた。

 ゴッ……と響く金属音とともに、隊長の剣はバラバラに砕け散る。

 「…………ぬぅ」

 砕け散った剣を見て隊長が声を漏らした。

 「結果は違ったようだな」

 「なるほど……特殊ポーション2本分の力ではないか……」


 「そうだ、俺のスキル【ポーション合成】によって生み出された、新たな戦闘ポーションだ」


 単純な足し算じゃない。

 俺が試作を重ねた戦闘ポーションの効率性を大幅にアップさせた代物だ。
 そして先程の攻撃で俺は確信した。神が作りしバトルエリクサーの効率性と同等にまで、引き上がっている。

 「もはや互いの武具に意味はなさんレベルか……」
 「そうだな、もはや俺たちの身体強化レベルは常軌を逸している」

 武器を使用しても、即ぶっ壊れるだけだ。

 「ってことで、拳で決着をつけようか、おっさん。
 時間も限られているだろうしな――――――互いに」

 「いいだろう、王子!」

 俺が地を蹴ると、隊長も同じく走り出す。
 互いに蹴った地面から土煙がバッと舞い上がる。まるでカタパルトのようだ。

 俺の右ストレートが隊長を捉えたかと思うと、即座に左に跳んで攻撃を避けた隊長の右ストレートが俺に襲い掛かる。

 「―――むん!」

 俺は隊長の攻撃を両手でガードした。

 ズズズンッという魔法攻撃でも食らったかのような衝撃波が、周辺にとぶ。

 体の芯まで衝撃は響いたが、完全にガードしきった。

 「ぬぅ―――!」

 攻撃を防がれた隊長は、いったん距離を取るために後方へ高速移動する。
 が、俺もその移動にピタリと並走した。

 グングン速度が上がる俺と隊長。
 もはや周りの人が見れば弾丸2つが飛んでいるように見えるだろう。

 そこへ隊長が動きを止めたかと思うと、パンチの連打を放ってきた。

 「ぬうらぁあああ!!」

 隊長から驚異的な速度で繰り出される拳の嵐。

 「うぉおおおお!!」

 俺も負けじと応戦する。
 パンチに加えて蹴り頭突きなど、どれもが強烈な威力を含んだ一撃。
 それが雨あられのごとく繰り広げられる。

 衰えるどころかさらに勢いを増していく俺たちの攻撃速度。

 周囲の景色が、音が、塵が、存在が、完全制止したかのような世界のなかで殴り合いが続く。

 「フハハッ! 王子よ! やはりこうでなければなぁ!」

 「俺はあんたと違って、バトルマニアじゃないんだよっ!」

 やけに楽し気に語るおっさんのニヤケ顔に抗議しつつも、その一方で俺のポーションが、バトルエリクサーと対等な効果を発揮していることには若干興奮を覚えていた。

 まあなんだかんだで、互いにやりたいことをやっているのかもしれんな。

 無駄口を叩きつつも、激烈な攻防が続いていたが……

 「ふぅふぅ……ふぅ」

 均衡する2人の力。ほぼ互角である。

 が隊長の息が上がり始めた。

 「おい、隊長。そろそろやめにしないか?」

 「ふざけるな王子!……ふぅふぅ」

 息も上がっているし、攻撃力も速度も防御力も落ち始めている。

 「いや、明らかに時間切れだろ」

 完全にオーバーヒートを起こしている。
 そりゃそうだ。バトルエリクサーがいかに常識はずれな効率で生命力を身体強化に変換しているとはいえ、こんな莫大な力は短期間で効力が切れる。

 エネルギー源である生命力が底をつき始めたんだ。
 まあそれは俺も同じくなんだが。隊長の方がはじめからバトルエリクサーを使用している。

 個人差があるにせよ、隊長の方がさきにオーバーヒートするだろう。

 「てことで終りだな、おっさん(隊長)」

 俺は存分に新たな戦闘ポーションの効果を確認できたし。

 「まだだ……王子」

 「そういっても、もはやどうにもならんだろ」

 この会話の最中にも、隊長の能力値は大幅に落ちてきている。
 一撃デカいので、気絶でもさせないと気が収まらんのか?


 「負けるわけにはいかん!
 ――――――上級身体能力上昇(ハイフィジカルアビリティアップ)!」


 ば、バカ野郎……!?

 「―――ゴッ……ガフッ!」 

 魔法詠唱完了と同時に吐血する隊長。
 バカが……すでに肉体の生命力を使い果たしつつあるのに、なにを身体強化魔法なんか使ってんだ。

 けど……

 「ハァハァ……グフッ……」

 わかったよ。

 めんどくさいおっさんだな。


 「付き合ってやる――――――最後の一撃に」