「兄貴をバカにしやがったなぁああああ!」
アイリアがキレた。
「――――――うらぁあああ!!」
しかもガチなやつで、いつもの口調もとんでしまっている。
「ギャハァッ!!」
1体の強化黒服が今日一番の強烈な突きを喰らって、その場に片膝をつく。
「もぅいちょ――――――うらぁあああ!!」
さらにそれを上回る一撃が炸裂して両膝を地に落とす強化黒服。
「な、なんですかぁ! あの槍娘はぁ!」
彼女のスピアは強化黒服を圧倒しはじめた。
アイリアの身体からあふれ出る黄金色の魔力が、彼女の身体能力を高めまくっているからだ。
そして、ぶちキレたことで、その体に纏う魔力はどんどん増えていく。
「まだまだぁ――――――うらうらうらうらぁあ!」
尋常ならざる突きが威力を増しながら、次々と強化黒服に襲い掛かる。
「ギュクッ……!」
強化黒服一体は、岩の鎧はすべてはぎ取られて、頭から地に崩れ落ちてズーンという音を響かせる。
「ばかなぁ……こうも容易く無力化されるだとぉ……」
地に伏せた強化黒服を見て、ワナワナと声を震わせる大司教。
「ぐぬぅ……立ちなさい! この人形がぁ! わたしの偉大なるクスリを貰ったのだ! 痛みなど感じないでしょうがぁ!」
「ギュハァァァ……ァア……ァ……」
もはやピクリとも動かなくなった強化黒服。
声はわずかに漏れ出ているので、死んではいないだろうが、完全に行動停止に追い込まれている。
「てめぇのクスリなんざぁ
―――――――――兄貴のポーションに比べればクソなんだよぉおおお!!」
「さぁ~~次だぁああああ!」
まだまだ消化不良なのか、アイリアは次の一体に襲い掛かった。
「あ、アイリア殿……凄まじいな」
その様子を呆気にとられて見ていたエトラシアに、隊長たちが声を飛ばす。
「ぼさっとするな未熟騎士! 左からくるぞ!」
3体目の強化黒服だ。
「クッ……貴様に言われなくてもわかっている!
――――――ぬぉおおお!」
エトラシアの強烈な正面振りが放たれるが、強化黒服は予定していたかのように横に飛んだ。
「ギャグラァアア!」
正面攻撃を左右に回避しつつ、徐々にエトラシアとの距離を詰めていく強化黒服。
「くそっ……当たりさえすれば」
「止まっていればいけるんだな」
「な、おまえには関係ないことだ!」
「未熟騎士、だまって聞け」
隊長がエトラシアに接近する強化黒服をけん制しつつ、話を続ける。
「相手は強敵だが、おまえの一撃が決まれば勝敗がつく……一点集中という意味のみでは貴様の一撃は我らより上だ」
「むっ……そ、そうなのか……」
「ゆえに我らが一撃を与える隙を作ってやる」
「……」
「いいか、その隙を逃すなよ」
エトラシアに返事はなかったが、再び剣を構えて強化黒服を見据えた。
「よし、タイナー! 詠唱開始せよ!」
「―――身体能力上昇!
―――魔法攻撃力上昇!」
隊長が身体能力を上げ、タイナーが魔法攻撃力を上げる。
「ぬぉおおお!」
隊長が地を蹴り正面から攻撃を仕掛ける。斬撃の連打だ。
そして怒涛の斬撃に呼応するかのように、強化黒服も応戦を開始する。
目まぐるしく動き回る2人だったが、強化黒服の腹部に隊長の斬撃がクリーンヒットした。
「グギュルウッ!」
岩の鎧を一部破壊したその一撃はさすがに効いたらしく、飛び回っていた強化黒服の動きが鈍くなる。
「タイナーぁあ!」
隊長の叫びと共に、詠唱準備を終えていたタイナーが動く。
「――――――重力増魔法!!」
「グガァンン!?」
強化黒服の身体が重力に押されて、その場に釘付けになった。
と同時に、隊長がその場から離れる。
「タイナー! 魔力が続く限り重力をかけ続けろ!」
「はいっ! 隊長……うくぅうう」
隊長の視線がエトラシアに向けられる。
「最初で最後のチャンスだ……確実に仕留めろ!」
「――――――ふぅううう」
エトラシアの深い呼吸音が聞こえたあと―――
「はぁあああああ――――――アァアアア!!」
ビックリするぐらい真正面からの単純な振り降ろし。
だが、これでもかという程の強烈な一撃。
「ギャバァアアアア!!」
エトラシアの一撃は、強化黒服の左肩から腹部にかけて深い溝を作った。
岩の鎧が粉々に砕け散り、そのまま顔面から地面に崩れ落ちる強化黒服。
ピクリとも動かない強化黒服を見て、隊長が口を開く。
「よくやった、未熟騎士」
「フゥフゥ……う、うるさい……話しかけるな」
「な、な、なぜだぁあ……わたしの強化人間がぁ……ばかなぁ……」
大司教が狼狽えている傍へ、スピアをブンッと振る音が聞こえてくる。アイリアだ。
彼女の足元には2体の強化黒服が虫の息で転がっている。
「さぁ~~~次はおまえの番だなぁあああ!」
スピアを構えるブチギレ王女。アイリアはある程度魔力を放出すれば平静に戻るのだが……2体を撃破してもまだまだ彼女の怒りは収まっていない様子だ。
「ひ、ひぃい! あなたたちぃ! あの槍女を止めなさい!」
大司教のまわりにいた聖騎士たちが、一斉にアイリアと交戦を開始する。
それに呼応するかのように嬉々として聖騎士の中に突っ込んでいくアイリア。
認識阻害で王女とはわからないが、解除して実は元王女なんですとか言っても誰も信じないだろうほどの暴れぶりだ。
大暴れするアイリアに対して、ふぅ~と呼吸を整えるエトラシア。
体力というよりは、精神的に疲弊しているようだ。
「よく頑張ったな、エトラシア。必要な回復ポーションは、出来あがったぞ」
「エトラシアさん、すごいです!」
エトラシアに声を掛ける。
「あ、ああ。クレイ殿、ラーナ殿。なんとか守り切れた……」
そう言ったエトラシアの視線は、俺たちにはではなく隊長たちに向けられていた。
「ふぁああ……み、みんなぁ……」
タイナーが、地に横たわる3体の強化黒服に対して苦しげに声をもらす。
俺も彼らに視線をむけた。
土属性の魔法で覆われた岩の鎧が粉々に砕け散っており、常人ならば即死するような傷を負っている。が、死ぬことも出来ずにその場でピクピクと痙攣しながら隊長たちをジッと見つめる3体の人間。いや元人間か……。
大司教にクスリを注入された成れの果てだ。
隊長が無言で剣を抜いた。
「えっ……た、隊長?」
「諦めろタイナー、ここで首を落としてやるのがせめてもの情けだ」
「う……うぅうう……」
そんなやり取りを後方で見ていたのか、醜悪な声がこちらに飛んできた。
「クフフ~~そうですよぉ……一度クスリ使えば人間に戻ることは叶いませんからねぇ~そもそも今回の人形は10時間ほどしか持たないですからねぇ」
アイリアの猛攻を多数の強化聖騎士で防いでいる大司教が、ニヤリと口角を上げる。
ちっ……やはり時間限定か。
元より聖騎士や黒服たちも使い捨てのつもりでクスリを使ってやがる。
「あなたたちぃ~なにを神妙な顔になってんです? いいじゃないですかぁ~人間など山ほどいるんですからぁ~多少減ってもどうってことないでしょうに。ねぇ」
「この外道司教がぁ……」
エトラシアが小さく唸りをあげた。
隊長たちに心を許したわけではいだろうが、大司教の外道ぶりにはすさまじい嫌悪感を抱いているようだ。
「クレイ殿……」
そんなエトラシアがこちらに視線を向けた。
その燃えるような赤い瞳を。
黒服たちに関しては、因果応報だと言いたいところだが……エトラシア。
わかってるよ。
俺は回復ポーションを大量生産しながら、ずっと考えていた。
「ふむ、やっぱやるか」
「え? クレイさん、やるって?」
ポーチに手を突っ込み、ゴソゴソといじる。
「クフフ~~この期に及んで何をやるというのですかぁ~もう全員死亡は確定事項なんですよぉ~ねぇ」
何をやるかだと?
「おい! 隊長、まだそいつらの首は落とすな」
「むっ、第7王子……ま、まさかおまえ」
俺がやる事なんてひとつしかない。
「ポーション作りに決まってんだろ?」
強化人間にするクスリがあるなら―――
元に戻すポーションを作ってやるよ。
アイリアがキレた。
「――――――うらぁあああ!!」
しかもガチなやつで、いつもの口調もとんでしまっている。
「ギャハァッ!!」
1体の強化黒服が今日一番の強烈な突きを喰らって、その場に片膝をつく。
「もぅいちょ――――――うらぁあああ!!」
さらにそれを上回る一撃が炸裂して両膝を地に落とす強化黒服。
「な、なんですかぁ! あの槍娘はぁ!」
彼女のスピアは強化黒服を圧倒しはじめた。
アイリアの身体からあふれ出る黄金色の魔力が、彼女の身体能力を高めまくっているからだ。
そして、ぶちキレたことで、その体に纏う魔力はどんどん増えていく。
「まだまだぁ――――――うらうらうらうらぁあ!」
尋常ならざる突きが威力を増しながら、次々と強化黒服に襲い掛かる。
「ギュクッ……!」
強化黒服一体は、岩の鎧はすべてはぎ取られて、頭から地に崩れ落ちてズーンという音を響かせる。
「ばかなぁ……こうも容易く無力化されるだとぉ……」
地に伏せた強化黒服を見て、ワナワナと声を震わせる大司教。
「ぐぬぅ……立ちなさい! この人形がぁ! わたしの偉大なるクスリを貰ったのだ! 痛みなど感じないでしょうがぁ!」
「ギュハァァァ……ァア……ァ……」
もはやピクリとも動かなくなった強化黒服。
声はわずかに漏れ出ているので、死んではいないだろうが、完全に行動停止に追い込まれている。
「てめぇのクスリなんざぁ
―――――――――兄貴のポーションに比べればクソなんだよぉおおお!!」
「さぁ~~次だぁああああ!」
まだまだ消化不良なのか、アイリアは次の一体に襲い掛かった。
「あ、アイリア殿……凄まじいな」
その様子を呆気にとられて見ていたエトラシアに、隊長たちが声を飛ばす。
「ぼさっとするな未熟騎士! 左からくるぞ!」
3体目の強化黒服だ。
「クッ……貴様に言われなくてもわかっている!
――――――ぬぉおおお!」
エトラシアの強烈な正面振りが放たれるが、強化黒服は予定していたかのように横に飛んだ。
「ギャグラァアア!」
正面攻撃を左右に回避しつつ、徐々にエトラシアとの距離を詰めていく強化黒服。
「くそっ……当たりさえすれば」
「止まっていればいけるんだな」
「な、おまえには関係ないことだ!」
「未熟騎士、だまって聞け」
隊長がエトラシアに接近する強化黒服をけん制しつつ、話を続ける。
「相手は強敵だが、おまえの一撃が決まれば勝敗がつく……一点集中という意味のみでは貴様の一撃は我らより上だ」
「むっ……そ、そうなのか……」
「ゆえに我らが一撃を与える隙を作ってやる」
「……」
「いいか、その隙を逃すなよ」
エトラシアに返事はなかったが、再び剣を構えて強化黒服を見据えた。
「よし、タイナー! 詠唱開始せよ!」
「―――身体能力上昇!
―――魔法攻撃力上昇!」
隊長が身体能力を上げ、タイナーが魔法攻撃力を上げる。
「ぬぉおおお!」
隊長が地を蹴り正面から攻撃を仕掛ける。斬撃の連打だ。
そして怒涛の斬撃に呼応するかのように、強化黒服も応戦を開始する。
目まぐるしく動き回る2人だったが、強化黒服の腹部に隊長の斬撃がクリーンヒットした。
「グギュルウッ!」
岩の鎧を一部破壊したその一撃はさすがに効いたらしく、飛び回っていた強化黒服の動きが鈍くなる。
「タイナーぁあ!」
隊長の叫びと共に、詠唱準備を終えていたタイナーが動く。
「――――――重力増魔法!!」
「グガァンン!?」
強化黒服の身体が重力に押されて、その場に釘付けになった。
と同時に、隊長がその場から離れる。
「タイナー! 魔力が続く限り重力をかけ続けろ!」
「はいっ! 隊長……うくぅうう」
隊長の視線がエトラシアに向けられる。
「最初で最後のチャンスだ……確実に仕留めろ!」
「――――――ふぅううう」
エトラシアの深い呼吸音が聞こえたあと―――
「はぁあああああ――――――アァアアア!!」
ビックリするぐらい真正面からの単純な振り降ろし。
だが、これでもかという程の強烈な一撃。
「ギャバァアアアア!!」
エトラシアの一撃は、強化黒服の左肩から腹部にかけて深い溝を作った。
岩の鎧が粉々に砕け散り、そのまま顔面から地面に崩れ落ちる強化黒服。
ピクリとも動かない強化黒服を見て、隊長が口を開く。
「よくやった、未熟騎士」
「フゥフゥ……う、うるさい……話しかけるな」
「な、な、なぜだぁあ……わたしの強化人間がぁ……ばかなぁ……」
大司教が狼狽えている傍へ、スピアをブンッと振る音が聞こえてくる。アイリアだ。
彼女の足元には2体の強化黒服が虫の息で転がっている。
「さぁ~~~次はおまえの番だなぁあああ!」
スピアを構えるブチギレ王女。アイリアはある程度魔力を放出すれば平静に戻るのだが……2体を撃破してもまだまだ彼女の怒りは収まっていない様子だ。
「ひ、ひぃい! あなたたちぃ! あの槍女を止めなさい!」
大司教のまわりにいた聖騎士たちが、一斉にアイリアと交戦を開始する。
それに呼応するかのように嬉々として聖騎士の中に突っ込んでいくアイリア。
認識阻害で王女とはわからないが、解除して実は元王女なんですとか言っても誰も信じないだろうほどの暴れぶりだ。
大暴れするアイリアに対して、ふぅ~と呼吸を整えるエトラシア。
体力というよりは、精神的に疲弊しているようだ。
「よく頑張ったな、エトラシア。必要な回復ポーションは、出来あがったぞ」
「エトラシアさん、すごいです!」
エトラシアに声を掛ける。
「あ、ああ。クレイ殿、ラーナ殿。なんとか守り切れた……」
そう言ったエトラシアの視線は、俺たちにはではなく隊長たちに向けられていた。
「ふぁああ……み、みんなぁ……」
タイナーが、地に横たわる3体の強化黒服に対して苦しげに声をもらす。
俺も彼らに視線をむけた。
土属性の魔法で覆われた岩の鎧が粉々に砕け散っており、常人ならば即死するような傷を負っている。が、死ぬことも出来ずにその場でピクピクと痙攣しながら隊長たちをジッと見つめる3体の人間。いや元人間か……。
大司教にクスリを注入された成れの果てだ。
隊長が無言で剣を抜いた。
「えっ……た、隊長?」
「諦めろタイナー、ここで首を落としてやるのがせめてもの情けだ」
「う……うぅうう……」
そんなやり取りを後方で見ていたのか、醜悪な声がこちらに飛んできた。
「クフフ~~そうですよぉ……一度クスリ使えば人間に戻ることは叶いませんからねぇ~そもそも今回の人形は10時間ほどしか持たないですからねぇ」
アイリアの猛攻を多数の強化聖騎士で防いでいる大司教が、ニヤリと口角を上げる。
ちっ……やはり時間限定か。
元より聖騎士や黒服たちも使い捨てのつもりでクスリを使ってやがる。
「あなたたちぃ~なにを神妙な顔になってんです? いいじゃないですかぁ~人間など山ほどいるんですからぁ~多少減ってもどうってことないでしょうに。ねぇ」
「この外道司教がぁ……」
エトラシアが小さく唸りをあげた。
隊長たちに心を許したわけではいだろうが、大司教の外道ぶりにはすさまじい嫌悪感を抱いているようだ。
「クレイ殿……」
そんなエトラシアがこちらに視線を向けた。
その燃えるような赤い瞳を。
黒服たちに関しては、因果応報だと言いたいところだが……エトラシア。
わかってるよ。
俺は回復ポーションを大量生産しながら、ずっと考えていた。
「ふむ、やっぱやるか」
「え? クレイさん、やるって?」
ポーチに手を突っ込み、ゴソゴソといじる。
「クフフ~~この期に及んで何をやるというのですかぁ~もう全員死亡は確定事項なんですよぉ~ねぇ」
何をやるかだと?
「おい! 隊長、まだそいつらの首は落とすな」
「むっ、第7王子……ま、まさかおまえ」
俺がやる事なんてひとつしかない。
「ポーション作りに決まってんだろ?」
強化人間にするクスリがあるなら―――
元に戻すポーションを作ってやるよ。

