2日後、祈莉の葬式があげられた。
 遺影の中で幸せそうに笑う祈莉をじっと、ボーッと見つめていた。
 お線香をあげに列に並ぶ。
 隣には清水が居た。
 ひとしきり葬式が終わり皆が祈莉の家族へ挨拶へ行ったり慰めに行ったりしていた。
 「梨久君こういう時泣かないタイプ? 」
 それを後ろの方で見ていた僕に清水が問いかける。
 「泣けないんだよ。悲しくて仕方ないはずなのに涙が出てこないんだ」
 ふーんと興味無さそうな返事が返ってくる。
 「私が祈莉ちゃんにあった日、私なんて言ったと思う? 」
 「さぁね」
 「貴女は梨久君が好き。梨久君もきっと貴女が好き。そして私も梨久君が好き。私の方祈莉ちゃんよりずっと前から梨久君が好きだったのに悔しい。好きな人に死なれたら梨久君が可哀想」
 いつものように淡々と話す。
 「最低だよね」
 「最低だね」
 僕も淡々と返す。
 「あの時の私どうかしてたんだと思う。
 ごめんなさい」
 「うん。もういいよ済んだ事だから」
 それにそれを僕に謝っても仕方ないじゃないか。

 「梨久君、少しいいかしら」
 祈莉のお母さんに声をかけられる。
 清水は静かにその場を後にした。
 「これ、祈莉が梨久君と海に行った日の後に撮ったみたいなんだけど、私に何かあったら渡して欲しいって頼まれて」
 そう言われて差し出されたのは1枚のパッド

 パッドを受け取ってあの場所へ向かう。
 約束したあの場所へ。