***
柚子が花嫁となってしばらく。
子鬼達はいつの間にかクラスのマスコットと化し、子鬼ちゃんを愛でる会なるものが発足。
教師も会員になっているという噂で、子鬼を学校に連れていっても怒られることはなかった。
むしろ、連れていかない方が怒られるという困った事態に。
これは子鬼グッズでも作れば一儲けできるのではとゲスなことを考えてしまう柚子だったが、そんな考えが出てしまうほど学校内で子鬼フィーバーが起きていた。
子鬼は可愛いが、見た目は男の子。
柚子としては、やはり着替えやトイレにまで連れて歩けないからと屋敷に置いていくのだが、いつも何故か鞄の中に入っている。
数日も経てば諦めを覚えた。
そういう連れて行けない時は、クラスメイトや教師に預かってもらうことにした。
高道からも、ボディガードになるから出来るだけ連れ歩くようにしてほしいと言われたので、今では一緒に登校している。
柚子としても癒やしがあるのとないのとでは心持ちが違うのでまあいいかとなった。
そんなこんなで、今までの両親や花梨に気を使った生活から解放され、心穏やかな毎日を過ごしている。
玲夜の屋敷でそれは大事に扱われることに、最初は恐縮し通しだったが、それも大分慣れてきた。
屋敷の使用人達も花嫁の存在に慣れて、最初ほど過剰反応しなくなったおかげでもある。
今の柚子は学校が終わって、玲夜の会社にてバイト中。
バイトの内容は書類整理や、コピー、データ入力といった簡単なものぎほとんど。
だが、間違いは許されないので中々にやりがいはある。
将来社会人になった時の予行演習と思えばやる気も出る。
と!そこまで考えて、花嫁はそもそも就職出来るのか?と疑問が。
バイトですら渋られるのに、就職など許されると思えない……。
「うーん……」
「疲れたか、柚子?」
思わず心の声が漏れていたよう。
「ううん、全然大丈夫」
「いや、いい時間だ。少し休憩しよう」
「はーい」
玲夜にそう言われて椅子から立ち上がる。
「玲夜も休憩しよう?」
柚子は高道からもう一つ仕事を任せられていた。それは玲夜を休憩させること。
でないと、玲夜は延々と作業を続けてしまうらしい。
高道はそのことをずっと心配していたようだ。
けれど、柚子が一緒に働くようになってから、柚子を休憩させるために一緒に休憩するようになったと高道に感謝された。
「ああ」
「じゃあ、私お茶入れて……」
お茶を入れにと思ったが、見計らったようにお茶をお盆に載せて部屋に入ってきた高道が。
「いつもながらナイスタイミングです。高道さん」
「お褒めにあずかり恐縮です」
いつも、休憩しようとするタイミングでお茶を持ってくる高道に、柚子は予知でもできるのではないかと疑っている。
けれど、玲夜は少し不満そう。
それは柚子の入れたお茶が飲みたいからのようで。
なので、柚子がお茶を入れることもある。
玲夜はまだ少し掛かりそうなので、先に高道と共に隣の部屋に入る。
隣は少し狭いが休憩室となっており、机とソファーが置いてある。
まあ、狭いと言っても、柚子からしたら十分な広さがあるのだが。
「お仕事には慣れましたか?」
ソファーに座った柚子の前にお茶を置きながら、優しく問う高道。
「はい。まだ分からないところは玲夜も高道さんも分かりやすく教えて下さいますから」
「それは良かった」
にっこりと笑う高道は、玲夜と違って温和な空気が漂っているので、柚子も話しやすい。
「正直言うと、花嫁となる方を働かせるのには反対だったのです。周囲の目もありますし。しかし、おかげで玲夜様が休憩を取られるようになったので柚子様には感謝しかありません」
「いえ、私はただ玲夜と休んでるだけなので、感謝されるほどのことは」
「柚子様がいらっしゃるようになってから、玲夜様が以前より穏やかになったと社内でも評判ですよ」
柚子には甘甘な玲夜だが、時折玲夜の仕事部屋にやってくる社員には凄く冷たい。それなのにそれで穏やかとは、以前はどれだけ冷たかったのかと、そこを問いたい。
柚子が花嫁となってしばらく。
子鬼達はいつの間にかクラスのマスコットと化し、子鬼ちゃんを愛でる会なるものが発足。
教師も会員になっているという噂で、子鬼を学校に連れていっても怒られることはなかった。
むしろ、連れていかない方が怒られるという困った事態に。
これは子鬼グッズでも作れば一儲けできるのではとゲスなことを考えてしまう柚子だったが、そんな考えが出てしまうほど学校内で子鬼フィーバーが起きていた。
子鬼は可愛いが、見た目は男の子。
柚子としては、やはり着替えやトイレにまで連れて歩けないからと屋敷に置いていくのだが、いつも何故か鞄の中に入っている。
数日も経てば諦めを覚えた。
そういう連れて行けない時は、クラスメイトや教師に預かってもらうことにした。
高道からも、ボディガードになるから出来るだけ連れ歩くようにしてほしいと言われたので、今では一緒に登校している。
柚子としても癒やしがあるのとないのとでは心持ちが違うのでまあいいかとなった。
そんなこんなで、今までの両親や花梨に気を使った生活から解放され、心穏やかな毎日を過ごしている。
玲夜の屋敷でそれは大事に扱われることに、最初は恐縮し通しだったが、それも大分慣れてきた。
屋敷の使用人達も花嫁の存在に慣れて、最初ほど過剰反応しなくなったおかげでもある。
今の柚子は学校が終わって、玲夜の会社にてバイト中。
バイトの内容は書類整理や、コピー、データ入力といった簡単なものぎほとんど。
だが、間違いは許されないので中々にやりがいはある。
将来社会人になった時の予行演習と思えばやる気も出る。
と!そこまで考えて、花嫁はそもそも就職出来るのか?と疑問が。
バイトですら渋られるのに、就職など許されると思えない……。
「うーん……」
「疲れたか、柚子?」
思わず心の声が漏れていたよう。
「ううん、全然大丈夫」
「いや、いい時間だ。少し休憩しよう」
「はーい」
玲夜にそう言われて椅子から立ち上がる。
「玲夜も休憩しよう?」
柚子は高道からもう一つ仕事を任せられていた。それは玲夜を休憩させること。
でないと、玲夜は延々と作業を続けてしまうらしい。
高道はそのことをずっと心配していたようだ。
けれど、柚子が一緒に働くようになってから、柚子を休憩させるために一緒に休憩するようになったと高道に感謝された。
「ああ」
「じゃあ、私お茶入れて……」
お茶を入れにと思ったが、見計らったようにお茶をお盆に載せて部屋に入ってきた高道が。
「いつもながらナイスタイミングです。高道さん」
「お褒めにあずかり恐縮です」
いつも、休憩しようとするタイミングでお茶を持ってくる高道に、柚子は予知でもできるのではないかと疑っている。
けれど、玲夜は少し不満そう。
それは柚子の入れたお茶が飲みたいからのようで。
なので、柚子がお茶を入れることもある。
玲夜はまだ少し掛かりそうなので、先に高道と共に隣の部屋に入る。
隣は少し狭いが休憩室となっており、机とソファーが置いてある。
まあ、狭いと言っても、柚子からしたら十分な広さがあるのだが。
「お仕事には慣れましたか?」
ソファーに座った柚子の前にお茶を置きながら、優しく問う高道。
「はい。まだ分からないところは玲夜も高道さんも分かりやすく教えて下さいますから」
「それは良かった」
にっこりと笑う高道は、玲夜と違って温和な空気が漂っているので、柚子も話しやすい。
「正直言うと、花嫁となる方を働かせるのには反対だったのです。周囲の目もありますし。しかし、おかげで玲夜様が休憩を取られるようになったので柚子様には感謝しかありません」
「いえ、私はただ玲夜と休んでるだけなので、感謝されるほどのことは」
「柚子様がいらっしゃるようになってから、玲夜様が以前より穏やかになったと社内でも評判ですよ」
柚子には甘甘な玲夜だが、時折玲夜の仕事部屋にやってくる社員には凄く冷たい。それなのにそれで穏やかとは、以前はどれだけ冷たかったのかと、そこを問いたい。