【第5回スターツ出版文庫大賞／結果講評】

この度は、「第5回スターツ出版文庫大賞」の開催に際し、多数の作品をエントリーいただき、誠にありがとうございました。

ご応募くださった作家の皆様、そして、作品をお読みくださった読者の皆様に、心より感謝申し上げます。

さて、第5回となる今回は、①青春恋愛 ②キャラクター文芸 ③フリーテーマの3部門に分けて募集いたしました。

3部門のテーマを意識し、皆様それぞれ魅力的な作品創作をしていただけたと思います。

たくさんのご応募ありがとうございました。

今回、私たち審査員は文章力や構成・展開力などの技術、オリジナリティ、インパクト、作家としての将来性などに重点を置き、厳正なる審査をさせていただきました。

本コンテストにおいては、筆力、構成ともに、優秀な作品を多数エントリーしていただきました。そして、最終選考においては審査員の中でも意見が分かれるほど、最終審査会はとても盛り上がるものとなりました。

その結果、受賞は、大賞1作、優秀賞1作、特別賞1作となりました。

受賞作品への講評は以下の通りとなります。

大賞『この恋を殺しても、君だけは守りたかった。』稲井田そう/著

吃音症であるが故に、なるべく周囲とは距離を置くヒロインと、転校してすぐ友達と馴染む明るいヒーロー。一見正反対だが、実は同じくらいの闇を持つふたり。ヒロインが個性的なキャラクターだけに、賛否両論分かれましたが、ハンデを持ちながら心の内では毒づくヒロインの心情が、きれいごとでなくリアルに描かれており、それが逆に健気に感じられ、応援したくなりました。最終的に自己犠牲でヒロインを守ったヒーローと、そんなヒーローを助けようと一大決心をするヒロイン。そんなふたりの真っすぐな想いが救われるラストの締めが爽快な作品でした。

優秀賞『山神あやかし保育園〜園長先生は、イケメンの天狗です〜』　皐月なおみ/著

あやかしが見える新米保育士・君島のぞみと、あやかし保育園園長のイケメン天狗・紅（こう）のちょっと不思議な心温まるストーリー。ヒロインのぞみと紅の掛け合いがテンポよく繰り広げられる世界はとても微笑ましく、楽しめました。人間があやかしに対して恐怖を抱くと「ぞぞぞ」というものが出て、それをあやかしたちが食べるというシチュエーションなど、ところどころに読者を惹きつけるアイデアが詰まっていて、ラブとエンタメ感のバランスが絶妙な楽しい作品でした。子供のかわいらしさも作品の魅力となるので、あやかしの子供のかわいらしさが伝わるエピソードがプラスされると、大賞へと一歩近づくでしょう。

特別賞『夏目七緒は、嘘つきだ。』浅井ハル/著

高校デビューしたものの、変態男の濡れ衣を着せられた主人公・春。そんな彼の前に現れた、財閥令嬢で完璧な清楚系美少女・七緒の正体は、毒舌のとんでもない腹黒お嬢様だった…。あるトラウマからギャップを抱える彼女の、歪ながらも強烈なキャラクターが際立った作品でした。ふたりのユーモア溢れる掛け合いもテンポが良く、読む者を飽きさせません。物語の後半、七緒が自分の正体を曝け出し、毒舌で春を守る姿は痛快で、彼女の成長に胸が熱くなりました。ただ、ラブコメとして楽しく読める反面、読後感がややあっさりとしたライトな印象がありました。登場人物の心の変化がわかるような心情描写を足していくと、より感情移入でき、深く読者の心に残る作品となるでしょう。

以上、受賞者の方々、おめでとうございます！

今日のこの日を機に、今後益々素晴らしい作品を生み続けていってください。

私たちは、皆様と共に、今後のスターツ出版文庫のさらなる発展に努めていきたいと思います。

今後もスターツ出版文庫のご愛顧をよろしくお願いいたします。

ノベマ！では、新たなジャンルの可能性を開拓すべく、これからも様々なコンテストを予定しております。

現在は、「キャラクター短編小説コンテスト」が開催されております。

毎月掲げられるテーマに沿って短編を書いていただく内容となっております。

みなさま気軽にご応募してください。