「和泉さん、私……、全然使い物にならなくなっちゃって。今も夢子ちゃんがほとんど仕事してくれてます。ホント申し訳なくて……」


私はまたしてもべそをかいてしまう。
妊娠してから、やたらと涙もろいんですけど。


「いいんだよ。つわりの苦しさは人それぞれだって言うし、この時期を乗り越えれば、また出産まで元気に働けるよ。ねぇウメちゃん、有休どのくらい残ってる?」


「あと、12日くらい残ってます」


妊娠で病院に行くまで、私はほぼ無遅刻無欠勤。
有休は昨年の繰り越しもあわせて結構残ってる。
和泉さんが言う。


「じゃあ、ウメちゃん、来週いっぱいお休みしたら?私の妹なんかもつわりで仕事休んでたし、大事な時期だからアリだと思うよ。
まだ、周りに言えないなら、インフルエンザとか言ってさ」


「で、でも、夢子ちゃんひとりに任せるのは……」


「一週間くらい回るよ。ダメなら上の階に助けてもらって、それでも足りなければ、下請けに出す」