私は時田さんの腕をがっちりつかみ、佐藤先生とみなみを抱いた部長と並び、看護師さんにシャッターボタンを押してもらった。


「写真できたら、持ってきますね」


「どうも……」


私がニヤニヤ笑っているのを、時田さんは恨めしそうに見ていた。
ふふふ、最後にちょっとだけ勝った感。


「本当にお世話になりました!」


私たちは産院のスタッフに見送られ、正面玄関から外に踏み出した。
1週間のうちに、外は真夏に季節を変えていた。


部長の運転で自宅マンションに帰りつく。


「みなみ~、おうちだよ~」


玄関に入り、眉をひそめる私。
むむ?何の匂い?

キッチンやダイニングテーブルには、調理の準備段階の食材がところせましと置かれている。


「ゼンさん、これって」