「今夜は少しミルクをあげて、赤ちゃんもママもゆっくり眠りましょうか?」


「私がおっぱい出ないせいですよね!?」


勢いよく聞く私に、天池さんがガハハハと豪快に笑った。


「産後一日で滝のように出る人なんて稀ですよ。少しずつ赤ちゃんの望む量が出るようになりますからね」


天池さんはミルクを作ってきてくれた。ほんの20CC。
ところが、これを飲んだ途端、みなみはコテンと寝た。

なんという敗北感だ。
きっと、母乳を決意したママは赤ちゃんが泣くたび、根気強くおっぱいをあげるんだろうな。


「母乳育児って、やっぱり大変なんですか?」


寝たみなみを抱いて放心する私は、すっごく疲れていた。


「うーん、難しい質問。ミルクも母乳も一長一短と答えておきます。
今は不安だろうけど、飲ませているうちに明日か明後日には一色さんのおっぱいはどんどん張るようになってきます。そうすれば、赤ちゃんもどんどん飲んでくれるでしょう」


明日か明後日か……。
まだ、全然母乳が出てる感じしないもんなぁ。