「ねえ、ウメさん、産まれたら病院にお見舞いに行ってもいいんですか?」


いち早く食べ終えた夢子ちゃんが、デザートを頼みながら聞いてくる。


「あー、来てもらっても赤ちゃんとはガラス越しの対面になっちゃうかも」


「最近多いよね、そういう病院」


「家族ならOKなんですけどね。一応、赤ちゃんの感染防止目的みたいです」


私はつられてデザートを頼みながら、和泉さんに答える。


「えー、残念!私、ウメさんの妹ってことにできないんですかぁ?」


「無理!全然似てないじゃん!」


「ですけどぉ」


「まあまあ、退院したらお邪魔させてもらおうよ」


和泉さんにとりなされ、夢子ちゃんは唇を尖らせたまま、仕方なく黙る。

実は社長だけは、部長の実父ってことで、病院に登録してある。なので、産まれたらすぐに飛んでくるはず。
二人には内緒にしとこう。


産前最後の職場ランチは、いつもと変わらず楽しく終わったのだった。