たまに来ていた小さなイタリアンのお店。
ランチタイムはいつも混んでいるけれど、今日は少し時間をズラしているので三人で座れた。

ああ、ここのボロネーゼもしばらく食べられないのね。
あ、出っ張ったお腹にソースがはねないようにしないと。


「ウメさん、日笠さんから何もらってたんですかぁ?」


前菜のサラダにフォークを突っ込みながら、夢子ちゃんが問う。


「これ?」


私はバッグの中の細長い包みを出して見せる。
今朝、日笠さんがくれたのだ。


『たいしたものじゃないです。姉が陣痛中、役に立つと言っていたので、よければ使ってみてください。本人は入院生活で使ったようですが』


「なんだろうねぇ」


私は二人の視線を受けながら、包み紙をガサガサ開ける。