部長の実家へ帰省して以来、私たちの距離はぐっと縮まったように思える。

部長の心のわだかまりが解けたせいだろうか。
彼は私に対して、よりくつろいだ表情を見せるようになった。

無防備に笑ってくれたり、たまに「もしかして甘えてるのかな?」といった態度を見せる。

今日みたいな酔っ払いサプライズも、
彼なりに気を許してきてるってことなんだと思う。


めっちゃ驚きましたけど。


「ゼンさん」


私も二人きりの時は彼を名前で呼ぶようになった。
心の中ではまだ『部長』って呼んじゃうのは仕方ない。
こっちの方が慣れてるし。


「なんだ」


「ごはん粒ついてる」


私が自分の頬を指差してみると、部長は

「ん」

と顎を突き出すような仕草。

それって取れってこと?