「まずは叔父の家に寄って挨拶する。母親のところはその後だ」


「病院はお近くなんですか?」


「……車で20分くらいだ」


妙な間を挟んで、部長は答えた。


「お加減、だいぶ悪いんでしょうか?」


怖じけていても仕方ないので、私は質問する。


「ここ二・三日は多少良いようだ。暖かい日が続いたからな」


「病気のこと、伺ってもいいですか?」


「若年性アルツハイマー」


部長は仕事の内容を言うみたいにあっさりと言った。
想像と違う病に、私は驚く。


「隠していたつもりはないんだが。すまん」


「なんで謝るんですか。謝る理由ないです」


「正直、おまえに『重い』と思われそうで言いづらかった」