美保子さんのおうちは、彼女の印象そのままのインテリアで統一されていた。

温かみのある木材の茶色。
ささやかなレース、素朴な色、そこかしこに活けられた花。


棚には美保子さんと眼鏡をかけた旦那さんの写真。
結婚式の写真だ。
今とあまり変わらないけど、少しだけ若い美保子さんが幸せそうに笑っている。

その横にフォトフレームに入ったエコー写真が一枚。
まだどこにベビーが映っているかわからないくらいのものだ。


「これ、お腹のベビーちゃんのだね」


私は何の気なしに、お茶を淹れてくれる美保子さんに話しかけた。

美保子さんが穏やかに首を振った。


「それは、私の最初の赤ちゃんの写真」


「え?」


「10週目に流産しちゃったけど」


彼女はティーカップに注いだハーブティーを私の近くに置いた。

まずいことを聞いてしまった。
私はひどく狼狽して、二の句がつけない。