とはいえ、聞いてみたら分娩費用は約2倍……。
うーん、部長決済がいるなぁ……。


早速、私は帰宅するなり部長の前に正座してみる。


「部長!無痛分娩ってご存知でしょうかっ?」


「はぁ?」


ことの次第を話すと、部長はパソコンを起動。
そして、ネットで無痛分娩を調べ始めた。


「なるほど、硬膜外麻酔を背中に入れるのか。……でも、俺はあまり賛成したくないな」


「や、やっぱり費用面ですか?」


「いや、気持ち的な部分で」


部長は頭をかきながら、ソファから立ち上がった。
キッチンに行き、自分のコーヒーと私用にノンカフェインコーヒーを淹れてくれる。


「産むのはおまえだから、気持ちには添ってやりたい。でも、どうしても自然に逆らっている気がするんだよ。お産ってのは昔から自然に行われてきたものだろう」


「それは……そうなんですけど」


確かに!
うちの母だって、和泉さんだって、自然に普通に産んだ。
美保子さんだって普通分娩。

多くの女性が痛みに耐えて脈々と子どもを産んできた。

痛いのが怖いから、楽に産みたいなんて私が甘えてるだけかも……。