部長はお寿司を食べ終わり、お茶を啜りながら言う。


「来週の金曜は午前半休とったからな」


「金曜?」


「5ヶ月検診だろうが!おまえが忘れてどうする、アホ妊婦!」


「あぁ~、そういえば……」


お腹の赤ちゃんと会える貴重な機会を忘れていました……。


「ごめん、ポンちゃん、忘れてたよ」


「ポンちゃん?」


私がお腹をさすって言うと、部長が変な顔で聞き返す。


「あ、お腹の赤ちゃんのニックネームです。赤ちゃんじゃ、なんか他人行儀じゃないですか?」


「……ネーミングセンスがひどすぎる!俺の子があわれだ!改名を要求する!」


「じゃあ、何か考えてくださいよっ!」


「待ってろ、我が子よ。今、流麗な名をつけてやる!」


「流麗じゃなくていいですよ!どうせ、お腹にいる間だけなんだから」


こんなやりとりは、

ちょっと夫婦っぽいかな?


結局、部長は考えすぎてニックネームを思い付かず、ポンちゃんが正式採用となった。

可愛くていいじゃんねぇ、ポンちゃん。

まだ動きもしない、いるのかわからないポンちゃんは、たぶん15センチくらいの大きさになってるはず。