「もしかしたらと思ってたんだよ。常ノ葉さんでしょう? だって、僕があそこにお参りに行った日に、きみが来てくれたんだもん」

「え、えっと」


そのとき、おじさんの瞳が、どうしてか、似ても似つかないユイちゃんのそれと重なった。気後れしてしまうくらいにきらきらした眩しい瞳だ。

いや……まさか信じるなんて。もちろん、嘘じゃないけども。


「本当に、叶えてくれるなんて。ありがとう、これからも頑張るからね!」

「は、はい。応援してます」

「きみたちも、何かあったらいつでも言って。僕にできることはなんでもするよ」

「は、はあ……」


完全に泣き顔になってぎゅうっと手を握るおじさんに、軽く引きつつも苦笑いを返す。

紗弥はやっぱり笑っていて、おじさんはぼろぼろ泣いていて、遠くから奥さんの「あなた早く戻ってきなさい!」という怒鳴り声が聞こえていた。




「ん、すんごいおいしいね、これ」


紗弥とふたり、もらったお菓子を食べながら歩いた。数種類の新メニューがあった中、わたしたちが貰ったのは初めに奥さんから貰ったのと同じ、さくさくの生地に甘いあんこが詰まったやつだった。

相変わらずの美味だ。これだけおいしかったら今後もっと話題が広まるに違いない。あのお店がこれからも順調にいくかどうかはわからないけれど、そこはもう、神頼みじゃなく、自分たちの力でどうにかしていってくれるはず。と言うかどうにかしていってもらわなければ。