「てかそれって、神様からバイト貰ってるってこと? あっは、何それ!」
「バイトじゃないよ、無償だし。だからボランティアね」
「ボランティアで神様の手伝い……! 千世最高だね!」
「わたしにとっては最悪なんだけど……」
「まあまあ、うん、とりあえず理由はどうあれ千世が困ってるなら手伝うけど。ああ、でも面白い」
「ありがとう紗弥。いろいろ思うところはあるけど助かる」
うん。笑われたって手伝ってもらえるのならそれでいい。それでいいと、思いたい。
「あ、そうそう。千世がこの間、その常ノ葉神社のこと話してたからあたしもちょっと気になって」
笑ったおかげで出た涙を拭いながら紗弥が言う。
「信じてなかったくせに……あのときも大笑いしたくせに」
「そりゃ笑うでしょ。でさ、うちのばあちゃんにちょっと訊いてみたの、常ノ葉神社のこと」
「紗弥のおばあちゃん?」
そう言えば、紗弥は小さい頃におばあちゃんと一緒に何度か行ったことがあるって言ってたっけ。
紗弥のお家は古くからこの辺りに住んでいるらしくて、紗弥はもちろん紗弥のおばあちゃんまで生まれも育ちもこの町だそうだ。だから紗弥のお家はこの町のことをよく知っている。
『俺はご近所に結構知り合い多いぞ』
なんてことを常葉が言っていたから、もしかしたら紗弥や紗弥のおばあちゃんも、どこかで常葉に会っていたりするのかもしれない。
「この辺って、昔は遊ぶところなんて今以上になかったからさ、ばあちゃん子どもの頃、よく常ノ葉神社に遊びに行ってたんだって」
「そうだったんだ。あの神社も古くからあるみたいだしね」
「うん。それでね、ばあちゃんが言ってたんだけど常ノ葉神社で昔、お祭りをやってたらしいよ」
商店街の真ん中辺りに来たところで、ふいに紗弥が脇を見た。
そこは細い裏路地へ繋がる小道がある。いつもわたしが神社へ行くために通る場所だ。