話した結果、爆笑された。

何がそんなにツボにはまったのか、紗弥はお腹を抱えて大笑いして、おじさんみたいにムセる始末だ。


美人な紗弥をねらう男子は多い。

その男子たちの「どうしたんだ……」という視線と、わたしからの冷ややかすぎる視線を無視して、紗弥はヒーヒー笑い続けた。


そのうち、真っ赤な顔で荒い呼吸をしながらも紗弥が顔を上げた。

ようやくわたしの視線に気づいたみたいで、まだ半分にやけ顔のまま「ごめんね」と首を傾げている。


「……そんなかわいい顔されても絶対ゆるさん」

「ごめんてー。いやいやだってさ、その神様、なかなかいいヤツじゃん? なんだかんだ千世の願い叶えてくれたわけだし」

「人を軽い気持ちで祟る神様のどこがいいヤツなわけ!?」

「それだって、お仕事手伝えば問題ないんでしょ? 神様の助手なんて、そうそう経験できることじゃないよ」


紗弥は「ヒャー!」とまたひとつ笑ってから、目元の涙をごしごし拭った。


「……紗弥、わたしのこと馬鹿にしてるでしょ」

「そんなまさか。それに、まあ、神様結構いいこと言うなあとも思ったし」

「いいこと?」

「千世の、夢が何か見つかるまで、手伝わせてやるってやつ」


紗弥が机に頬杖をついて、猫みたいな丸い目でわたしを見上げた。


「昨日も千世、進路調査票に何書けばいいかわかんなかったみたいだし。千世はまだ、将来のこととか決まってないんでしょ」

「んー……まあ、そうなんだけど」


はあ、と大きなため息をついて、また机の上に突っ伏した。

木製の机は雨でしけって、なんだか嫌なにおいがした。