自分でもわかってるんだ、ばかなこと言ってるって。
むしろ誰かに「そんなことないよ。そりゃ夢だよ」って言って欲しいし。
だけど紛れもなく昨日のことは現実だし……家帰ってからもしばらくおでこ光ってたし。
よくわかんないけど神様に「祟ったよ」とかしれっと言われて、とてもじゃないけど心穏やかでいられるはずがない!
「ああもうどうしよう! 祟り殺されるなんて嫌だよー!」
「ちょいちょい千世。落ち着きなさいよ。て言うかほんとに祟られたわけ?」
「だから言ってるじゃんそうやって。紗弥は友達を信用できないの?」
「信じるにしても限度ってもんがあるからね。でも、千世が元気ないのは見てらんないよ」
ほい、と紗弥がわたしの口にクッキーをねじ込む。
わたしは釈然としないまま、それをもぐもぐと頬張る。おいしい。
「で、千世は一体どこの神様に祟りをかけられたの?」
「……常ノ葉神社ってとこの神様」
「常ノ葉神社……って、確か商店街の裏の?」
「あ、紗弥知ってるんだ」
「うん。ばあちゃんと小さいときに何回か行ったことあるよ。高台のちっちゃい神社だよね。もうずっと行ってないけど……てか千世、なんでそんなとこ行ったの?」
「昨日帰り道にどしゃぶり降られたからさあ。雨宿りしようと思って」
ああ、あの雨さえなければ……もしくは傘さえ持っていれば、今頃、こんなことにはならずに済んだのになあ。
なんて、後悔したってどうにもならないけど。
「なるほどなるほど。確かに昨日はどしゃぶり降ったもんねえ。ふーん、あそこの神様にねえ」
「紗弥、わたしの言葉、信じてくれるの……?」
「いや、まったくもって信じてないけど、なんか面白そうだから追求するね」
「なっ……!」
「それで千世はなんで祟られちゃったわけ? 悪いことしたの? 賽銭泥棒とか?」
「そんなことするわけないじゃん!」
人聞きの悪いこと言うなと、ちょっとぷんすかしながらわたしは昨日のことを紗弥に話した。