祟りなんて、そんな非現実的なものもちろん信じちゃいないけど。

わたしはさっき、明らかな、不思議な現象を目撃している。


ということは祟りだってありうる?

この人がほんとに神様なら、わたしなんて簡単に祟れる?

……そんなばかな!


「喜べ。夢のないお前のために、お前が夢とは何かを見つけられるように手伝わせてやるのだ」

「祟られといて喜べるか! 早く解いてよそれ!」

「やだ。解いたら千世は来ないだろう。俺は昨今のゆとり世代の実状を把握しているのだ」

「なんだと!」

「手伝いに来ればいいだけの話だ。お前、暇そうな顔をしているし」

「ふざけんなー!」


否定はしないけど! こんなありがた迷惑があるか!

祟りとか、仕事を手伝えとか(神様の仕事ってそもそもなんだろ)。

……夢とは何か、見つけられるように、とか。


「て言うか、どんな祟りなのコレ!?」

「内緒だ。とっぷしーくれっと」

「か、神様がそんなことしていいわけ? 人を守ってくれるのが神様なんじゃないの!?」

「信じる者は救われると言うだろう。つまるところ、信じぬ者のことなど知ったことか」

「くっ……このやろう……!」


なんて根性悪な神様なんだ。

綺麗なお顔に油断した……。とっとと帰っていればよかった。


なんで、わたしが、こんな目に。