「……すごいな。あれ、千世のしわざ?」
「わたし以外に誰がするの? あ、でも紗弥も手伝ってくれたよ」
「よく怒られてないね」
その神社は、前の敷地とは比べものにならないくらいにとても小さくなっていた。
その小さい中に、鳥居と、お社。それだけでもうギュウギュウなのに、細い隙間を埋めるように、満開のひまわりが咲き乱れていた。
ここにいるよと手を振るように、真っ青な空に顔を向けて。
「ここの神様寂しがり屋だから、これだけ賑やかなら、寂しくないでしょ」
お社の前に腰掛ける。おみやげはもちろん、三波屋のおまんじゅうだ。
「ね、常葉」
お社に向かって柏手を打った。手を合わせたまま、静かに目を閉じる。
何も祈らなかった。言いたいことはたくさんあるけど、それは、ちゃんと会って話したいから。
いつかまた会えるときまで、内緒にしておくんだ。
きっとあんたはめんどくさそうに、おまんじゅうを食べながらわたしの話を聞くでしょ。
だからわたしはあんたが昼寝をするヒマもなく、いろんなことを話してあげる。
「さてと」
「え、もう行くの?」
「こんなとこにいつまでもいたって意味ないじゃん。ほら、次は紗弥が修行中のお店!」
「お金ないくせに」
しぶる大和を引っ張って、来た道をまた戻っていく。