最後の光が、すっと暗闇へ消えていく。


神社からまた拍手が起こる。きっと花火だと思ったんだろう。みんなも、この光を見ていた。

自分たちの、大切な夢を。



「なあ千世、お前に夢はあるか」



常葉が言う。わたしは、頷かないままそれに答える。


「まだ、明確なものはわかんないよ。でもね、わたし、誰かが前に進めずいるときに、いつだって隣にいてあげられる人でありたいよ」


たったひとつ、気づいたこと。

大きな知恵とか力なんかで、いろんなことをサッと解決できたらそれが一番かっこいいけど、どう考えたってわたしにそんなのできっこない。かと言って誰かが苦しんだりしてるとき、その苦しみを半分背負ってあげることもできるわけなくて。

だからせめて、おんなじだけの気持ちを持って、その人の隣に立ってあげる。たぶんそれならできる。なんの解決にもなってないし、面倒なのが増えただけな気がするけど、それくらいならわたしも。

わたしにもできること。


「困っていたら一緒に困って、立ち止まったらすぐ側に寄るの。それからね、叶えたい夢があるのなら、それを叶える、手伝いをしたい。わたしは、そういう人でありたい」

「ああ、それでいい」



こつんと、常葉のおでこがわたしのおでこに触れた。

じわっとしびれて、そこに何かが集まっていくような感じがする。


「そのとても小さく曖昧な夢から、お前の道は開く。それを目印に進んでいけば、きっとまた、新たな望みが見えてくる。どこまでも行け、千世。怖がらず、前を見て。お前が踏み出す一歩は、すべてが、新たな道へ続く一歩だ」


離れたところから、淡い光が浮かんでくる。とてもとても柔らかな、それは真っ白な光。


わたしの、夢。