「確かにね。ちょっと準備の期間が短かったから、どこまで知られてるか」
「できることはやったつもりだけどさ、実際のところよくわかんないじゃん」
「そうだねえ」
こればかりは、明日始まってみないとわからない。
だけどもし、明日。全然人が来なかったら。
準備を手伝ってくれた人たちにも申し訳ないし、常葉の願いも、叶えられないことになる。
「…………」
明日。花火大会が開かれる明日。
同じ日にしたのはわたしだ。だって花火と一緒じゃなきゃ、昔のお祭りと同じにはならない。
でも、花火大会と同じ日ってことは、人が随分そっちに流れてしまうってことだ。
紗弥が言うにはこの神社は、花火見物の知る人ぞ知る穴場スポット。と言うことは、ここから綺麗に花火が見えるってことを知ってる人も少ないわけで。
たとえお祭りがあることを知られていたとしても、ここには人が来ない可能性も十分にある。
「……だけど今は、できることをやるしかないよね」
「お、千世その意気だ!」
「紗弥、早く終わらせちゃお。短冊もつくらなきゃだし」
「切って穴開けるだけだけどね」
すべては明日。明日わかること。
わたしがどれだけのことをやれたか。どれだけ届いたか。
今は、頼りない自分を信じて、今やれることをするだけだ。