わたしが思うよりもずっと順調に進んでいた。そのほとんどがわたしの力じゃなく、いろんな人の助けのおかげ。


「すごいなよあみんな……無茶なことだって平気で引き受けて、こんなに行動できるんだもん」

「何言ってんの。はじめは千世じゃん。これ計画したのも、あたしたち動かしたのもさ」


振り向くと、紗弥が首をすくめて笑う。


「たい焼き屋さんは、千世に助けてもらったじゃん? あたしだっていつもいろいろ助けてもらってるし。ばあちゃんもさ、ずっと復活させたかったお祭り、千世がやろうって言いだしてくれたから、手伝いたくなったって。みんな理由はあるんだよ」

「……なるほど」

「あは! 他人事みたいに言わないでよ。全部さ、千世の力だよ。みんな千世だから手伝おうと思ってんの」


バシッと背中を叩かれる。わたしがよろめくのを見て、紗弥はなんだか楽しそうな顔。


「千世ってなんか、手ぇ貸したくなるんだよね」

「何それ、わたしがなんもできないダメなやつだからってこと?」

「違うよ。千世ってさ、前から手を伸ばしてくれる人でもなく、後ろにいてこっちが手を伸ばさなきゃいけないんでもなく、横を歩いて手を握ってくれる人だと思うんだよね。だからすごく自分の身近でさ、千世が悩んでるのを見過ごせないっていうか。なんか、よくわかんないんだけど」

「……うん」

「それって逆もありで、あたしが悩んでるとき、きっと千世なら一緒になって頭抱えてくれるんじゃないかって思えるんだよね。だからあたしも心から、千世の助けになりたいって思うの」


紗弥の笑顔を見て、ぎこちなく頷きながら、常葉が言ってくれたことを思い出した。

誰かが笑ったら笑って、泣いたら自分も泣け。


それだけって言ったらそれだけで、きっとなんの解決にもならないことなんだけど。たったそれだけのことでもしも何かが変わるなら。

それがわたしに、できることなら。