「重っ! 笹重っ!!」


息を切らし、鼓動を速め。運動不足の体中を酷使して想像の倍はでかい笹を持ち石段をのぼる。

前をわたし、後ろを紗弥で肩に担いでいた。完全に肩に食い込んでる。やばい、たぶん肩取れる。


「千世まずいよ! あたしそろそろ下に転げ落ちるかも!」

「頑張って! あとちょっと! わたしも肩もげそうだけど!」

「死なないで千世ー!!」


なんて叫んでいる間に無事に境内に到着だ。用意していた支柱に括り付け、どうにか神社に笹を立てた。


つい、声を上げてしまったのは仕方ない。

だって、まだ飾りつけはひとつもしていないのに、大きな笹が立っただけで、ものすごく迫力があって。一気に雰囲気が変わる。もうすぐはじまるんだって、そういう気分になる。


「千世、やったね! ひとつ目の大仕事終了!」

「うん。わたし今ので5キロは痩せたわー」

「あたしもー。もうこれだけでクタクタなんだけど。ちょっとうちら運動不足すぎやしないかね」

「ほんとだわ……」


笹を運ぶだけでここまで疲れるとは思わなかった……。お父さんでも呼んで手伝ってもらえばよかったかな。


「……でも、これでまず一歩だね」


紗弥が言うから、わたしは頷く。舞台が、これで一歩、完成に近づいた。

あとはこの笹を当日までに飾りつけして、屋台を出して、紗弥が頼んでくれた音楽隊のためのステージも作って。それから。

まだ、やらなきゃいけないことはたくさんある。でも確かにすべてが進んでいる。