「飾りつけも任せてね。なんかうちのばあちゃんが張りきっちゃってさ。近所の短歌サークル仲間と一緒にもういろいろ作り始めてるんだ」

「そうなんだ。紗弥のばあちゃんありがたや」

「でもばあちゃんは千世にありがたやって言ってたよ。ずっとやってなかったお祭り、ひとりで復活させようとしてんだもん、すごいことだって」


紗弥はそこでニイッと笑って「だから言っておいたよ」と続ける。


「千世は神様の助手なんだから、当然だってさ」

「うおっ……! ちょっと紗弥、お願いだから広めないでよそれ。なんか変なウワサ立ちそう……」

「いいじゃん、本当のことでしょ。それに、だから千世、こんなに一生懸命頑張ってんでしょ」


つまようじに刺したボールをピンと上げて、「ね」と首を傾げる紗弥に、敵わないなあと笑いながらコクンと頷いた。


紗弥がいてよかったと心から思う。同時に紗弥ってすごいなあと、改めて思う。

もしもわたしが紗弥の立場なら、こんな風に信じて、一緒に頑張るなんてこと、きっとできなかった。


「…………」


なんとなく、桜あんも紗弥のパックに移した。紗弥は「お、ラッキー」と言って一口で食べた。