「ふたりとも頑張ってるから、おじさんのおごりね。食べて」

「やったあ! おじさん超オトコマエ!」

「ありがとうございます。元気出ます」


紗弥とひとパックずつ受け取って、雨宿りついでに屋根の下でおやつタイムを取った。

お天気雨は少しずつ止もうとしている。空は青い。どこから雨、降ってるんだろう。


「あ、そうだ千世! あたしも千世に報告しに来たんだって!」

「ん?」

「笹、ゲットできたんだよー!!」

「うっそ、ほんとに!?」


あんこボールを投げだしそうなくらい驚いた。屋台の出店よりも、そこが一番のネックだったのに。


「どうやって?」

「ばあちゃんの知り合いのおっちゃんがさ、わけてくれるって。イッチバン立派ででかいやつお願いしておいた!」

「さすが紗弥ー! すごい!! わたし最悪ウチの観葉植物使おうかと思ってたもん」

「だって“七夕祭り”って言ってんのに笹飾りないわけにはいかないもんね。頑張ったよー」


ピースを作って笑う紗弥。本当にすごい。だってわたしひとりじゃ絶対に笹無しのお祭りになってたはずなんだもん。

ありがとうの代わりに、紗弥の好きな抹茶あんのあんこボールをそっと紗弥のパックに入れた。紗弥はそれをひとつも遠慮することなくぱくりと食べた。紗弥のこういうとこ、すごく好き。