◆
なんだか不思議な夢を見た。
たぶんそれは夜で、でもお祭りみたいなことをやっていてあたりはとても明るくて。
子どもも大人も浴衣を着て、立ち並ぶ屋台の間を歩いていた。
常にどこからか、太鼓や笛の音が聞こえていた。そっちの方を見るとやぐらを囲んで踊っている人たちがいて、そのまわりで手を叩いている人もたくさんいた。
遠くで花火の音も聞こえる。ときどき、空に綺麗な花が咲く。
奥に行くと、大きな笹飾りを見つけた。
大勢の人がその下に集まって、何かを笹にぶら下げている。
近くで見ると、色とりどりの短冊だった。短冊には何かが書かれている。それぞれ違う、みんなの願いごと。
誰も笑顔でその場にいた。楽しそうに、空に願う夢を1枚の短冊に託していた。
そして、そのしあわせなざわめきを、誰よりもうれしそうに眺めている人がいる。
一番奥のお社で、静かに座って見守っているのは、星の色の髪をした綺麗な神様。
ああ、そっか。
この夢は、常葉の思い出なんだね。
とてもとても不思議なんだけど、なんの迷いもなく気づいたんだ。
遠いいつかの大切な思い出。
常葉の、心の中に残る記憶───