──それは、ほんのわずかな動作だった。
伸ばした腕を翻して、手のひらを上に向けただけの。
それなのに、我慢した涙が全部あふれてしまったのは。
手のひらに浮かぶ光が、これまでに見たどの“願い”より、強くて、綺麗だったせい。
「……なんだ、それ」
「俺が言わずともわかるだろう。大和、これはお前が長い間、大切に持ち続けていたものなのだから」
「…………」
「なあ、大和。今も、これほどまでに強く美しく輝いているのに、お前には、この光が見えないのか?」
それは、とても大きな。
まるで小さな太陽みたいに、ずっと遠くまでも照らしてくれる、今も強く輝く光。
『消えはしない。言っただろう、いつまでも側で見守っている』
『願いは終わっちゃっても?』
『願った夢は消えないからだ』
大和にとってその“夢”は、小さな大和の世界を照らす太陽だった。ずっとずっと小さい頃から、それを目じるしに追いかけ続けてきたんだから。
知ってるんだ。知ってたんだ。だってわたし、誰より近くで見てきたから。
「……俺の、夢」
消えるなんて考えもしなかったのは、消えることなんてないから。
消えるはずがなかった。
だって、こんなにも、大切に願い続けてきた光だから。
「そうだ。お前の夢」
「なんで……消えてないの」
「夢とは、届かないものになっても消えたりはしない。いつかお前が忘れ、本当に見えなくなったとしても、それでも輝きお前を見守り続ける。
これから先も、お前が真っ直ぐに歩いて行けるように。どこまでも行けるように。決して道を見失わぬように。いつだって、お前の背を見守っている」