「なんだあの変な人……本当に神社の人か? 髪、銀色だけど」

「ま、まあ、かなり怪しいかもしれないけど、確かにここの人だから」

「ほんとに? 千世、あの人と知り合いなのか? 大丈夫?」

「だ、大丈夫大丈夫。たぶん無害だから」

「ふうん……」


わたしがあいつに呪われているなんて当然言えずに、とりあえず渋る大和の腕を引っ張って連れて行った。

わたしがお社に座っても、大和はお賽銭箱の横に突っ立ったまんまで、番犬みたいに常葉が変なことをしないか見張っている。


常葉は常葉で、不審者と思われているなんてつゆ知らずにじいっと大和のことを眺めていた。

それから、わたしには滅多に見せないような爽やかな笑顔を浮かべて「んん、やはりお前は良いものを持っている」なんてことを言い出すから、余計に大和に怪しまれる始末。


「ほら大和、ここに座れ。ずっと日陰になっているから涼しいぞ。千世はもっと向こうへ行け」

「あんたが行け」


常葉に尻で押されながらもどうにか日陰を死守している間に、大和はしぶしぶ常葉の隣に座っていた。

でもまだ信用はできていないのか、ちょっと距離を空けている。常葉を真ん中にして両脇に、わたしと大和。


常葉はなんだか機嫌がよさそうだった。わたしたちが来る前に何かあったっていうよりは、大和のことを気に入ったって感じ。

でも大和の方は相変わらずで、近い場所から常葉のことを詳しく観察している様子だ。


「さっき、千世があなたのことをこの神社の人だって言っていましたけど、あなたはここの宮司さんなんですか?」

「ん? いや俺は……ああ、まあ、そんな感じだな」


ぎゅうっと常葉の手をつねっているのは、もちろん大和には見えないところで。

余計なこと言うんじゃねえぞと指先から念力を込めて。