職員室で放送室の鍵を受け取って隣の小さな部屋に入る。


2年になって、放送委員になった。
それから、こうして、私の毎週木曜日、ここでひとりお昼の放送を流す。それが私の日課。


『こんにちは。お昼の放送の時間です。今日の担当は黒田です。よろしくお願いします』


毎回決まったこのセリフから始まり、あとは適当に音楽を流すだけ。たまーに、先生達からのお知らせとか、放送室の前にある“相談ボックス”に入っている手紙を読んだりする。

真面目な相談内容なんて、年に1回あるかないか、だけど。


作業自体は簡単だけれど、ひとりでお昼を食べる羽目になるから、みんなあまりやりたがらない。

クラスの放送委員を決めるときも、お昼の放送担当を話合うときもすんなりとは決まらなかった。


「……でも、楽だよねえ」


正直、私にとってはアタリだったなあ、とひとり、お弁当を口に運びながら呟く。

こうして担当になるまでは私も面倒だなあ、って思っていた。


でも、誰かに気を使うことなく、ひとりでお弁当をつまむのは悪くない。むしろ、この日を楽しみにしている。

バックミュージックは私の好きな洋楽のヘヴィロック。

以前デスメタルをかけたら、先生に怒られた。



4時間目が移動教室でなければもっとよかったんだけど。