ふわふわ気分のまま学校をあとにして、瀬戸山と並んで帰っていると「はい」と新しいノートを手渡された。
よくわからないまま捲ると1ページ目には瀬戸山の気持ち。


「どういう、ことなの?」


いろいろ考えてみたけれど、やっぱりよくわからない。
だって、こんなの、あるはずないって、思っていたのに。


「なにが?」

「だって、瀬戸山は……江里乃が……。それに私ってなんで気づいて……なんで好きとか」


口にして自分で赤面すると、瀬戸山が「なにしてんだよ」と苦笑した。


「お前本当にあれで隠してたつもり? ノートに書いてることふっつーに話すし、そもそもメルアド書いたメモ見りゃノートと同じ字だってわかるし。ばかじゃねえの。ウソが下手なんだよ、ド下手糞。すぐ分かったし」

「……わかってたなら、なんで……」

「お前のことだから、ウソがバレたって知ったら逃げるだろうなあって。そう思ったら、なんかやだなあって。いつのまにか好きになってた。松本を好きになった理由も結局お前のことだったし。気がついたらお前のことばっかり考えてんだもんな、俺」


顔の熱が全く冷めない。あまりに正直すぎる発言の数々に、気持ちがついていけない。
……“好き”って言ったよね?
聞き間違いじゃないよね。


「松本のこと、好きだったって、お前知ってるから……こんなこと言っても絶対受け入れねえだろお前」


確かに……。
だって本当なら江里乃と瀬戸山は……あの手紙で付き合うことになっていたかもしれない。
そう思うと、素直に喜ぶことなんて、できなかった、かも。付き合えても、気にし続けるような気がする。