渋々中に入るとすぐに大人の人が対応してくれて、須賀は慣れた様子で男子更衣室に案内されていた。
その間私は壁に貼られている資料とか写真を見ながら、ガラス張りになっているプールを見た。
そこには黄色や赤の水泳キャップを被った子どもたちが。
多分、みんな小学校低学年ぐらい。中には小学校に入る前のすごく小さい子もいる。
ペタペタと濡れた足でプールサイドを歩きながら、手には自分のビート板を持っていた。
「お待たせ」
更衣室から出てきた須賀は水着の上に白いTシャツを着て、首からはホイッスルをかけていた。
その姿がちょっと様になっていてムカつく。
「教えるってあの子たちに?」
「そう。たまに臨時コーチ頼まれんの」
どうやらここのスイミングスクールの教官と須賀は顔見知りらしくて。時間がある時はこうして通っているらしい。
プールサイドに須賀が行くと、すぐに子どもは大声で寄ってきた。
「わー!恭平先生だ!」
須賀の腰辺りまでしか身長のない子たちがどんどん集まってきて、どうやらここでも須賀は人気者らしい。
須賀のこと先生だって。
まあ、そう言ってる子どもたちは可愛いけど。