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お祭りから3日が過ぎて、変わったことはとくにない。

……いや、ある。

私の部屋に私以外の生き物が息をしてるということ。


「おはよ」なんて返事が返ってこない二匹の金魚に話しかけた。

あれから金魚の飼い方の本とエサと小さな水槽を買って、長生きするようにそれなりに環境は整えたつもり。

面倒くさいことを引き受けちゃったな……って、我に返ることもあるけどなんだかんだ愛着が湧いてきた。

名前はまだ考え中だ。


その時、クッションの上にあるスマホが鳴った。
着信は紗香。


『もしもし?』

『あ、すず?今なにしてる?』

紗香はテニス部の練習で毎日忙しそうにしてるけど、時間ができればこうして電話をかけてきてくれる。


『さっき起きたからなにも。それより足はどう?』

『うん、平気。すずのおかげだよ』

私のおかげって、ただ絆創膏を貼っただけだよ。


『山口もあのあとメールくれて。ただ皮が剥けちゃっただけなのに病院に行ったほうがいいよって言われちゃってね』

山口くんって須賀の友達のひとりっていう認識しかなかったけど、いい人だって気づいた。

ハプニングはあったけど、あのお祭りは色々と新しいことに気づけた気がする。


『あ、そういえばさー』

紗香が思い出したように言う。

私はまだ終わってない課題を適当にパラパラとめくりながら、冷蔵庫にあったアイスを口に入れた。


『須賀にすずの連絡先教えたからね』

『……っ……ゲホッ』

『だ、大丈夫?』

『え?連絡先?私の?』

固形じゃないアイスでむせてしまうなんて重症だ。