「で、倉沢さんは、芳野先輩の何をあたしに訊きたいわけ?」
ふと、真面目な顔つきになったかと思えば、三浦さんの目がじっとわたしを見据える。
好奇心に満ちている目。キラキラしつつギラギラしたそれは、まるで、逃がさないぞ、とでも言いたげだ。
「えっと、ね……」
わたしは、ハナの記憶については知っているということを伝えた。
だけどなんでそうなったのか。詳しいことについては、何も知らないということも。
「なるほど、つまり、その辺りの詳しい情報を知りたいってこと?」
「うん……本人にはなかなか訊けなくて。でも、知っておきたいなって思うから」
「ふうん。うんうん、なるほど」
途端、三浦さんの表情が悪そうな笑みに変わった。
ハッと直感が働く。もちろん嫌なほう。
「ちょっと待って、違うからね、そういうんじゃなくて」
「いやいや、わかってるよ。ナイショにしておくから。倉沢さんに彼氏いるなんて知れたら、悲しむ男子多そうだしね」
「だから違うってば!」
やっぱり変な勘違いをされている。
わたしとハナの関係。訊いてこないと思ったら、なんか、勝手に。
「ハナは、そういうんじゃなくて……なんていうか、その……」
友達とも言えないけれど、だからって、彼氏だとか、好きな人だとか、そういうのとは違って。
嫌いじゃないし、もちろん好きだけど、その好きっていうのは、三浦さんが思ってるのと違くて。
わたしは、ただ。