「ここに居ていいんだ、星」
ひとつの星が照らしていた夜が、ゆっくりと白く明けていく。
『居ていいんだよ、セイちゃん』
何よりも聞きたかった言葉だ。
ずっとそれを探していた。
狭いところに隠れて、小さくうずくまって、ひとりで逃げて、手を伸ばそうともしないで。
目を瞑って、耳を塞ぎながら、でも本当は聞きたかった。
たったひとつのその言葉。
居ちゃいけないと思った。居たくないと思った。
でも本当はここに居たかった。
わたしはずっと、そう言って欲しかった。
お父さんとお母さんに。わたしの居場所に。
一緒に居て欲しい人に、その、言葉を。
そして、ああ、そうだったんだ、と気付く。
なんでハナの言葉を聞くと、よく泣きたくなっていたんだろうって。
不思議だった。なんで涙が出そうなのか、自分でも全然わからなかった。
──そうだったんだ。
ずっと初めからそうだった。
わたしが聞きたかった言葉。
ハナの言葉の裏側にはいつだって、その言葉が、隠れていた。
ここに居ていいんだ。
きみはわたしに、いつだって、そう言ってくれていたんだね。