バスで駅前に来た私たちは、そこから徒歩で繁華街を抜けて歩いた。都会ではないこの街は、駅から少し離れると、もうそこは住宅地になる。

「山本栞っていうのが相手の名前だ」

___栞

 その名前を聞いたとたんに胸がしめつけられるような感覚が襲った。

「同級生か?」
クロが振り返りながら尋ねた。

「うん・・・親友」

「それにしては変な顔してるぞ」

 ため息をつくと、クロの隣に並ぶようにして歩く。

「修学旅行前にケンカしちゃったんだよね・・・。そっか、確かに未練だわ」

「なんで?」

 そう言われて考えるが、記憶がごっちゃになって思い出せない。

「・・・なんでだろ」