「ああ」

 それは祖母の持っている手鏡だ。装飾がとてもきれいで、昔よくこれを欲しがったっけ。

 きっと私のお見舞いに祖母が来てくれたのだろう。

___それにしても・・・

 自分が何故病院にいるのか分からない。

 ていうか、最近の記憶がない。

「どうしちゃったんだろう?」


 改めて、祖母の鏡をまじまじと見つめる。

「・・・あれ?」

 その時、私は自分が泣いている事に気づいた。

 何故かは分からないけれど涙がどんどんこぼれてくる。

 悲しい、とかの感情ではなく、ただただ涙があふれ落ちる。