「・・・なんていうことを」

「私はね、彼に安心してもらいたくって、もう妊娠のことは心配ないって言ったの。彼は一瞬だけ、ホッとしたような顔をしてくれた。・・・でも、すぐにこれまで見たこともないような冷たい目をして言ったの、『だから?』って」

 私の顔は怒りで真っ赤になっていただろう。

「私、信じられなくて・・・、でも『俺たちは終わったんだから、今後は話しかけるな』そう言って彼は走って行ってしまったの」

「そいつ、どこの誰よ!」
怒りレベルが頂点を突き抜けた私が立ち上がって叫ぶと、恭子は驚いた顔をした。

「ちょっと、落ち着いて。私より怒ってどうするの」

「あ。それもそうか」
再び座りなおす。