「同級生の彼がいたの。私は奥手だったからはじめは断っていたんだけど、あまりに熱心に言われて付き合うようになったの」

 なつかしむように笑顔で目を閉じている。

「もちろん周りには内緒でね。今はどうか分からないけれど、当時は『不純異性行為』は良くないっていう校則だったし、社会だったから」

「そうなんだ」

「付き合うっていうのも良く分からなかったけれど、だんだんと彼のことを好きになっていくのが分かった」

「うん」
分かる気がした。好きな気持ちは、すごい勢いで加速するものだ。

「しばらくして、なんだか体調がおかしくなってね。そして、それが妊娠によるものだと分かるまでそう時間はかからなかった」
目を開き、悲しそうに息をこぼす。

「彼に話すと、とっても驚いてた。そして言われたの『俺は関係ない』って・・・」

「何てヤツなの!」
思わず大声を出してしまった。