「・・・いててて」
恭子はそう言いながら手すりにもたれて座っている。よほど痛かったのか、頬を手で押さえるが、なぜかその顔には笑みがあった。

「私、悪くないもん」
少し離れて私も同じように座った。

「うん、ごめんね。私、こういうのうまくできなくって」
恭子はそう言うとまた笑った。

「恭子さん、変わってるね。地縛霊っぽくない」

「あー・・・。それ、案内人にも言われた」
クスクス思い出し笑いをしている。

「・・・未練解消できなかったの?」

「できなかった・・・というか、しなかったって方が正解かも」

「・・・どうして?」