「私は蛍。あなたは?」
警戒しながら問うと、少女は手すりの方まで歩いて下を見下ろしながら答えた。

「私の名前は恭子」

 隣にならぶような形になったので、気づかれないように1歩下がる。
「あなた、地縛霊でしょ」

「うん。でも安心して。もう精気を吸い取る力も残っていないから」
悲しげな顔をしてこちらを見る。

「・・・」

「でも、まだできるのかも・・・」
青白い両手を不思議そうに見ている。「一応やってみようかな」

 恭子の両腕がこちらに伸びてくる。

___結局、吸い取るんじゃん!

 私は何の躊躇もなく、恭子の頬に右のストレートを打ち込んだ。