「よし、私がんばれ。がんばれ、私」
自分にそう言い聞かせてみた。
「大丈夫、がんばれ私」

「何をがんばるの?」

「何って、コクるんだよ。がんばれがんばれ」

「ふうん」

「・・・え?」

 振り返ると、そこには私と同い年くらいの少女がいた。制服を着て、ぼんやり立っている。

「・・・誰?」

「あなたこそ、誰?」
少女は軽く首をかしげて微笑んだ。はかなげな、という言葉が似合いそう。

 一瞬、霊感が強い人間に見られたのかと思ったが、さすがに経験値が増えているのかすぐにその考えは打ち消した。