やってられない。


 なんだか胸がムカムカする。

 それは、営業マンの笑顔のせいでもなく、あの若夫婦のせいでもない。

 生きている人間が憎らしく感じるということは、私も地縛霊になりつつあるのだろうか。

 ため息をつくと、私は、
「どうぞお幸せに」
と言ってから外に出た。