果たして涼太がやってきたのは幼稚園だった。

「なんだよ、やっぱここなんすね」
カクガリがそう言うと、涼太の後を追う。

　幼稚園の中庭を抜けて、建物をぐるっと回ったところに涼太はいた。

「ここだよ」

「あぁ・・・」
思わず声がこぼれた。

　屋根つきの小さな小屋。その中に動いているのは、数匹のウサギだった。

「ウサギ小屋だったのか・・・」

「あ、生まれてる！」
涼太が声を上げてこっちを見た。

　見ると、小さなウサギの赤ちゃんが小屋の隅に置かれたバスタオルの上にいた。

　音もなく涼太の身体が光りだす。それはウサギの赤ちゃんも同じだった。

「生まれた、生まれたんだね。よかった」
涼太は心からうれしそうな声を出した。