「え!?」
慌ててカクガリが涼太を肩からおろす。
「涼太、覚えてるのか?」

「うん」

 驚いた顔をして私とカクガリが目を見合わせるのを見て、満足そうに涼太は微笑んだ。

「なんだよ~。灯台下暗し!」
額に手を当てて、マイッタというポーズでカクガリが天を仰ぐが、それよりも日本のことわざを知っている方が驚いてしまう。

「ねぇ、涼太君。本当に覚えているの?本当に?」

「うん」
涼太は得意気に胸をはると、
「こっちだよ」
と小走りで駆け出した。

 唖然として見送る私、そしてカクガリであった。